◆点と点をつなぐ

中上健次の『枯木灘』を読んでいる。閉鎖的な田舎町で、きょうだいとは父が異なる私生児として生まれた青年・秋幸を主人公とした、身内の血の呪縛について書かれた傑作である。最初は家系図が複雑すぎて読みすすめられなかったのだが、わかってくるとお互いの関係の絶妙さや利害の別がわかってきておもしろい。身内で起こった暴力や殺人について書かれる場面が出てきたとき、別のことを思い出した。

それは並行して読んでいた連続殺人犯、いわゆるシリアルキラーの記録だ。これは「殺人博物館」という有名なサイトがあって、古今東西の殺人記録がまとまっている。あれこれ読んでいると、凶行に走る人びとの幼少の家庭環境の多くは、目も当てられないほどに凄惨である。人間にとって愛着形成の段階(母子関係によってそれは築かれ、1歳前後で土台ができてしまうという。)がいかに大切かがわかる。彼らは孤独な少年・少女時代を送っていることがあまりにも多い。

ここで孤独と犯罪について考えてみる。ここ数年で増加している高齢者の犯罪はその多くが万引きレベルの窃盗だという。人とのつながりが断ち切られ、最後に残る他人との縁が牢獄なのだ。人とつながるための窃盗なのでとうぜん再犯率も高い。年齢がいくつであっても、孤独が人を狂わせるのは間違いないようだ。

そして最近懇意にしていただいている、コミュニティづくりの研究・実践をしているひとのことを思い出す。現代社会では捨て置かれつつある共助・互助の精神こそ見直すべきではないかと考え、そういったシステムを作ることに心血を注いでいる。ひょんなことからご縁があり、最近では一緒にコミュニティづくりをやっていこうという話になったところである。

わたしの仕事の特性上、そのコミュニティは精神疾患にまつわるものだ。精神疾患もその発症経緯を見ると生育歴によるものが大きい。やはりどこかで孤独であったり、心ない扱いを受けていたりする経験があるのだ。自身も病歴があるので、そのときのことを思い出すとなかなかにカオスだ。

このように、なんとなしに読んだり考えたり経験してきた個々のできごとが、実は一本の線でつながっているのではないかと思うときがある。歴史を学んでいても一見関係のないできごと同士がつながって現在の対外関係を作っているということがよくあって、点と点とつなぐことの重要性を感じつつある。

この点つなぎの行程はつながった瞬間がおもしろく、「ぷよぷよ」を全消ししたときのような(わたしはパズルがヘタクソなので、3連鎖もすら組めない)爽快感がある。人生とはこの点をいかにつなげ、各方面に還元していくか、ということなのかもしれない。

今日も読んでくださり、ありがとうございます。もう少しだけ続くんじゃ。

コメント

  1. […] きのうのつづきなので、きのうのものから読むことをおすすめいたします。 […]

  2. […] そのためにはもっと想像力が必要だ。拙作「点と点をつなぐ」でも書いたが、なかばゴリ押しともいえる関係妄想を繰り広げるちからがとっても大事になってくる。 […]

WP Twitter Auto Publish Powered By : XYZScripts.com