◆宅配野菜のすゝめ

近くの農家と契約して、隔週で野菜を配達してもらっている。直接お会いしたことはないのだがたいへんに親切にしてくださり、旅行に行くから配達日をずらしてほしいとか、家をあける期間が多いので一回スキップしたいとか、来客があるので追加にもう一回ほしいというのも快く受けてくださる。自炊主体の我が家では契約開始からかれこれ1年半が経った。
採れたその日に配達して翌日に届くので新鮮、かつ野菜本来の甘みがあっておいしい。スーパーに行く必要がないのでどれを買うか悩まないし、重い買い物を持ち帰る必要もない。仲介業者もないのでマージンもない。おまけに無農薬である。無農薬がいかに良いかというのはろくにわかっていないけれど、豆腐と同じで不必要なものをわざわざ入れずにやっていけるならその方がいい気がする。旬の野菜が届くのも四季の死んできたスーパーマーケットでは味わえない情緒を感じられてよい。これは季節で同じ野菜ばかりが届くというデメリットにもつながるのだが、おかげで飽きないようにするためにレシピの幅が増え、却ってありがたい事態となった。
ただ、虫が嫌いな人にはあまりおすすめできない。新鮮かつ無農薬、農家から直送ともなると野菜を洗っていて虫が出てくることがままある。わたしは虫がだいすきなのでふんだんに観察してから外に出したり、洗っている過程でうっかり流してしまったりするのだが、そういうのがだめな方はちょっときびしい。あとは同じ野菜ばかりが届くというのと重なるが、必ずしも望み通りのラインナップで届くとは限らない。そういう場合はやはりどこかに買いにいかねばならない。とはいえ、限られた選択肢の中でレシピを構成してみるのもゲームのようで楽しく、買いに行くか否かは半々だろうか。
時間と手間をカットしてくれる上、スーパーよりおいしい野菜が入って値段がいかほどかというと、思いの外安い。だいたい二人分の量が7種類入って2500円ほどである(量は4000円くらいまでの幅があって調整できる)。夏はクール便になるのでその分が上乗せされて少し高くなるが、暑い日にスーパーへ行かずに済むのはありがたい。配達業者を中継するので配送料はかかってしまうが、それによって選択の機会が減るのは日々のストレス軽減に一役買っていると言わざるをえない。人は平均して、1日に8000回の選択をしているという。そのうちの1回が減ることで、本当に吟味したい選択に時間をかけられるのがうれしい。わたしの場合は文章にどのことばを充てるかや、絵に入れる色を何にしようか等、そういうことのほうに力を注ぎたいのだ。
宅配野菜は検索のしやすさ等のユーザビリティがいまいちなので導入の敷居が少し高いのが難点だが、始めてしまえばきらくなものだ。肉と魚はなくてもどうにかなるが、野菜はないと困ってしまう。
読んでくださり、ありがとうございます。いまから秋の野菜が楽しみです。本文には書きませんでしたが、地域の経済が潤うことで町が元気になっていくということも頭の片隅にありまして、そういうわけで地産地消という考え方はすきだったりします。東京はいろいろ集まってきますが、案外東京だけでまかなえるものも多いんだなと気付く日々です。

コメント

  1. […] も気が滅入る。パズルのピースは静かに選びたいのだ。そのため隔週で詰め合わせがくる宅配野菜や、そもそも旬の野菜しか置いていない直売所は選ぶリソースを取らないのでありがた […]

  2. […] 宅配野菜と同じく泥を軽く落としてあるだけなので、芋類の保存はきくしときどき虫も出てくる。これはもうデメリットというよりは、農家直売の「味」である。虫に触れる機会の少な […]

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