前回の外来についてはいつものエッセイで書いたとおりで、病院を変更するも発達障害は先生の専門外だということで、元の病院へ戻ることになった。今回の記録がそれである。

外来のときは、前回からの記録をwordに記録して渡している。かぎられた診察時間のなかで空白の期間について最も有効に伝えられるのが、わたしの場合は文章なのだ。睡眠の状況や気持ちの波、トラブルがあったかどうか等々……とりあえず気になったことを書いておいて、最終的にA4用紙1枚におさまるよう推敲してわたす。文章がくどくなりがちなわたしの、「書く」練習の場としてもこの紙は活躍している。先生としても書面で見るほうが時間短縮になるし、気になったことをすぐ聞きやすいということで、この形が定着しつつある。

今回は、5年前に「発達障害の傾向がありますね」とざっくり言われたことについての詳細と、精神的不調よりも中途覚醒のことが気になっていたのでそのことを伝えた。前者についてはどうやら結果の用紙を渡して説明がなされたらしいのだが、全く記憶に残っていなかった。わたしの目に新鮮な検査結果のレポートと、もう数年が経過していることだし……とさらに切り込んだ資料もいただけた。読んでみて気になったことは次回の外来で聞いてくださいねと先生は言った。当時診てくれた先生と今の先生はちがう人なのだけれど、なんとなく今の先生のほうが患者の見方がじょうずな気がする。

睡眠に関しては前回べつの病院でもらった睡眠薬「ルネスタ」についての感想を述べた。結論からいうとあんまり現状に変化がなく、副作用(起きたときに口の中が苦い)が気になるので、微妙かもしれない、と伝えた。いったん別のものに変えてもいいかもしれないねと先生は言って、ふたつの薬の説明をしてくれた。ひとつは「ロゼレム」といって、睡眠促進メラトニンを受け取るからだの部分に作用し、睡眠と覚醒のリズムを整えてくれるという。飲み始めに日中の眠気が気になる可能性があるのと、効くひとと効かないひとがはっきりと二分している薬だと先生は付け加えた。もうひとつは「ベルソムラ」で、覚醒の維持にかかわるオレキシン受容体に作用して寝付きをよくしてくれるそうだ。こちらは服薬初期に夢を見る(かならずしも悪夢ではない)という、変わった副作用をもつ。「どちらにしますか」と先生は言った。前半は比較的まじめに聞いていたのだけれど、ベルソムラの「夢を見る」という副作用を聞いてからはそちらに目がいってしまっていろいろ想像してしまい、あとの説明をあんまり覚えていなかったので、ロゼレムをもらってみることにした。

ちょっと話は逸れるけれど、外来のあとで自閉症スペクトラム(いわゆる発達障害のこと。2013年以降、精神医学の世界では発達障害→自閉症スペクトラムという呼称にかわったようだ)の本を読み、睡眠の異常について少しだけ書かれていたので、該当部分についてかんたんに紹介する。自閉症スペクトラムの人のなかには睡眠の異常が目立つ場合があり、通常の睡眠導入剤が効かないことが多い。抗精神薬と呼ばれる薬をごく少量投与したり、さっき上で紹介したロゼレムのような薬で日内リズムを調整するのが有効なことがある。本の中で具体的な薬の名前を書くことは任意の製薬会社に寄ってしまうことと同義なので、差し控えていることがほとんどである。ロゼレムも、本の中では成分の名前「ラメルテオン」で書かれている。この本はひろく自閉症スペクトラムについて解説されており、シンプルな結論が並んでいてひじょうに読みやすかった。当事者のひとが読んでもいいし、身近に当事者がいるひとが読んでもいいし、たんに興味がある、という人が読んでもいい構成になっている。この本が新書だからなのか、帯の煽りや表紙のデザインが気になるが、中身は長らく臨床で活躍されてきた先生のもので、ちゃんとしていると思う。

本屋で手にとるのがはばかられる表紙と帯である(kindleで買った)。出版社のねらいとしては「我関せず」の一般層をねらっているのだろうなと感じる。

そういうわけで、ロゼレムといつもの薬をもらって帰り、終了。検査の記録を読んで思ったことはあるが、長くなるので今回は書かない。むしろ深刻なのは睡眠のほうで、ロゼレムの効果にわくわくして飲みはじめ今日で3日がたつが、中途覚醒がひどくなっている上に日中たいへんにねむたい。今が連休だからいいものの、出勤前日に飲むかどうかを悩むレベルである……。とはいえ勝手に中断するのも気が引けるしどうしたものか。