◆カノジョのこと。

※「カノジョのこと。」は本人の承諾を得たうえで、実際のできごとを元に再構成しています。

 日々のなかで、たびたびカノジョのことを思い出す。今でも時々顔をあわせるのだが、その空気は以前より少しだけ重い。対話を重ねることでふたたびゆるやかになることを望むが、それはわたし次第であり、何よりカノジョ次第だ。カノジョは自らを「点的」と自称する。

「点的」、いきなり聞き慣れないことばを放つものだから、わたしはしょうじきに問うた。
「生きていると、何かを感じたり、思ったりするでしょ。ふつう、過去の経験や思いを総合して目の前のことを判断するけれど、わたしはその「瞬間」で決めてしまう。一歩立ち止まって考える、というのが苦手なの。」
 思えば、カノジョは長らく続けていたバイト先で強い叱責を受けたまさにその日に、すっぱり辞めたことがあった。よっぽどその言い方が恐ろしかったのか、はたまたカノジョが深刻に受け止めすぎたのか、その近くには一切寄らなくなった。わたしが鳩のいるところを避けるように(わたしは鳩が大の苦手である)、テナントの入ったビルをぐるりと迂回する。ひとつ思い出すと、どんどん記憶が掘り起こされていく。恋愛のことを聞いたときも印象的だった。くわしいことは割愛するが、とにかく惚れっぽく飽きっぽい。ここでカノジョの言う「点的」にピンときた。カノジョはどうも、目の当たりにしている現場で判断をしている。経験や記憶が現在とつながりづらい……、要するに「線」になりづらいのだ。ゆえに「点的」、なるほど。親とすさまじい衝突をしたかと思えば次の日には異様なほど密着しているというのも、その場その場の判断がそうさせているのかもしれない。
 そういうわけで、1回会うその間に表情がクルクルと変わって慌ただしい。自分もなかなかの気分屋の自負があったが、カノジョには到底かなわないと思ったものだ。

 読んでくださり、ありがとうございます。もうちょっと書きます。iPadで描く練習もせっかくだからしてみます。こうやっていろいろいっぺんに始めるとよくないってわかってるんですが動いてしまいます。性分ですね。

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