◆喫煙所のこと

 くりかえしになるが、わたしのアトリエは精神科病院の一角にある。どうも去年から喫煙所の撤去が始まったらしく、今は一箇所だけ残っているという。しかしその一箇所も、来年を目処になくなるのではないかという噂が立っている。

 いまアトリエには非喫煙者が多いが、昔はたくさん喫煙するひとがいたそうだ。その頃は喫煙の規制もゆるく、アトリエ内でたばこをふかしながら制作していることもあった。たばこのやにのせいで作品が変色したり、劣化したりするということもあったらしい。見せてもらえばたしかに、キャンバスが黄変している。

 いくら健康のためとはいえ、数少ない喫煙者の方々は危機にひんしている……と思う。不健康な者を健康にする病院が喫煙所を撤去するのはおかしなりくつではない。だが、喫煙所の機能はそれだけではない。わたしは非喫煙者だけれど、喫煙所や、喫煙者どうしの醸し出す独特の雰囲気や関係性を感じ取ることがあって、それが喫煙のもつコミュニティ性ではないかと思うときがある。

喫煙所撤去のうわさを機に禁煙に励もうとする方がいて、非常にしんどそうにしていた。どれくらい吸う方なのかはわからないが、食べたあとは特に吸いたくなるという。気の毒に思って声をかけると「元はといえば吸っていた自分が悪いから」と笑う。果たしてほんとうにそうなのだろうか?

 後日、別の場所で喫煙所が減っていることについて聞いてみると「そうはいっても、マナーの悪い人もけっこういるから、しかたないんじゃないかな。自業自得かもしれないよ。」と言われた。そういうものなのだろうか。わたしにはわからない。しかし、のべつまくなしに撤去している現状はひとの居場所を無碍に奪っているようにもみえてしまう。

読んでくださり、ありがとうございます。英語から日本語で書くといかに英語ができないかわかります。日本語→英語にあんまりしないのはそういうわけです。

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