◆お名刺願望

さいきん、名刺をもらう機会がふえた。とはいっても職場でのやりとりではなく、アトリエの方、職場の方に紹介してもらった全然関係のない方、それ以外のほんとうに全然わからない方と、いろいろだ。

むかしから、名刺へのあこがれがあった。おそらく端緒はコナミの名作RPG「幻想水滸伝Ⅴ」に出てくるオボロという探偵が、初対面のキャラクターに名刺を差し出すシーンを見てからだ。「幻想水滸伝」の世界に名刺文化は存在していないので、相手に名刺を渡してはふしぎな顔をされるシーンが何度か出てくる。そのくせ「知らないんですか?これ、名刺っていうんですけどね。私が作ったんですけど。」というかんじのセリフを、面食らっている相手に平気で投げかける図太さも魅力的だった。中学2年生くらいだったわたしに名刺文化は存在していなかったので、最初はその意味がまったくわからなかった。しかし何周もするうちに名刺の意味と、探偵という忍者のごときしごとと、複雑な経歴をたどってきた探偵一味のキャラクターたちに惹かれたわたしは、ばくぜんと彼の差し出す名刺をかっこいいアイテムのひとつとして認識していた。

わたしはSNSでゲーム関係の人と知り合って生きてきたので、名刺が必要な場面は皆無であった。プロフィール欄に名前と遊ぶゲームと腕前が書いてあるからである。「Twitterこれです」と見せてしまえば、それで済んでしまう。

しかし、アトリエの方はまだしも、職場からつながった方においそれとtwitterを紹介するわけにはいかない。ハンドルネームで運用しているうえに俗語まみれのゲームツイートと多発するインド人の顔文字、そして闇金ウシジマくんを崇拝している女のアカウントというのは、さすがに趣味を知らない相手にぶつけるのには敷居が高すぎる。そもそも、本来そのひとと扱いたい話題を載せていないのだから、紹介する必要もない。

人間関係がゲーム以外に広がり、ゲーム以外のつながりをもったひとに提供できる情報を持っていない。そのことに気づき、ばくぜんとした「かっこいい」お名刺願望は「実用的な」お名刺願望に変わりつつある。

今日も読んでくださり、ありがとうございます。つくる話につづきます。

コメント

  1. […] きのうの続きで、今日は実践編だ。実践編といっても、じっさい作るのは相当先になると思うけれど……。きまってもなかなか煮え切らない、それがわたしである。 […]

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