◆バイトをはじめた話

 じつは金曜からバイトをはじめた。前にちょっと書いたが来年度引っ越すことになり、余裕をもって資金を貯めたいと思いはじめた。アトリエに通いつつ今の仕事を増やすのはむずかしいので求人サイトをあたっていたのだが、いまいち「これだ」というものがなく……。そこで先月末、14年来の友人であるゲームセンターWILL店長・しぶたにのこんなツイートが流れてきたのだった。

 「ふくしんろう」とは、今は亡きわたしのホームゲーセン、立川オスロー1号店から少し奥まったところにある中華料理店である。わたしも何度かお食事をいただいたのだが、月末限定で出るカツカレーがおいしい……と、またカレーの話をしてしまったが、かんじんの中華もふつうにおいしいです。

 ちなみに、しぶたにと食べに行くと彼のぶんがすさまじい盛りで提供されるので、一種のエンターテイメントだ。その豪快は多摩都市モノレールの最奥地である上北台駅から1kmほど離れたところにある「忠豊」と張り合える。一度行ったきりだが、今も営業しているのだろうか……。

 話を戻し……年末年始にむけて求人サイトを見ていたわたしは「友達の顔なじみの店で働くのもおもしろいな」とおもい、翌日さっそく電話をかけた。何度か書いているけれど「おもしろい」とおもったらすぐ動いてしまう。「ともだちの紹介でなじみの店のバイトをする」というのは「架空のものがたり」っぽくて、一度やってみたかったのだ。実は大学のころのバイトも友人に紹介してもらったのだが、働く店のことをまったく知らなかったので前述のシチュエーションとは少し異なっている。今回はぴんぼけなしの完全一致である。
 思い返せば今年の彼岸、母方の墓参りのとき、お店の奥方とばったり出くわした。よもや墓地で顔見知りに会うとは思いもしなかったが、ゲーム脳的にはイベント発生のフラグと捉えることもできる。なるほど現実のフラグはあまりにもさりげない。
 ここでつけくわえておくが、わたしに接客業の適性はない。教わった通りにしか動けないからである。不測の事態が起きたとき、即座にポンコツと化してしまう。スピード感が求められる飲食業というのは、時期限定のアルバイトだから選択の余地がある。障害者福祉のしごとも臨機応変といえばそうなのだが、自分に近い世界なのでまだ想像の余地がある。飲食はとにかくイメージに乏しい。 何が起こるのかまったくわからないのである。

 ちょうど金曜だったので、アトリエ後に面接となった。奥方が出てきて「思ってた子が来たわ」とほほえむ。「お墓で会った子だよね。」「そうです。」しぶたにづての応募も特定された原因のひとつだが……もうひとつ。わたしの声は特徴があるらしく、今の職場でもかなりの人から「御影さんですね、声でわかりました。」と言われることが多い。あまり自分の声はすきではないのだけれど、ひとから覚えてもらいやすいというのは時に身をたすける。ポケモンでいえば「とくせい」みたいなものである。

 早速シフトの話がでて、ざっくりと全体の話を聞いておしまい。面接らしからぬやりとりだった。かくしてこの金曜日から、第二の労働がはじまったのであった。

 20代も後半にしてバイトをするとは、学生のわたしが聞けば卒倒するだろう。当時のわたしの人生設計は「進学校→大学で哲学をやる→医学関連の出版社→豊かなひとりぐらし+両親に仕送りし、自立した老後を送ってもらう→40歳くらいでなんか満足して死ぬ」である。かんじんの就活を投げたり留年したりといろいろあったので「豊かなひとりぐらし」どころではなくなってしまったが、今となってはアトリエのように出会うべき場所に出会えたのでまぁいいかという感じだ。また40歳で死ぬのもちょっと、やりたいことの量を考えると短すぎる。

 安全性の高いルートのフラグが折れてしまったために日々のなかでつらいことも多いが、案外めちゃくちゃ起こるほうがわたしのような輩にとっては「おもしろくて飽きない」のかもしれない。

 読んでくださり、ありがとうございます。音に敏感なので宴席で注文を聞くのがとても大変でして、そんなことは「おもしろさ」のわくわくの裏にすっかり隠れておりました。「おもしろい」由来の突発的な行動は、ときにこういうかたちで出ます。

コメント

  1. […] た。おかげで体重等の数値をなんとか保ったまま12月を迎えることができました。 最近はじめたバイトもホール業務ですから、賃金のおまけに運動もできます。ここから3月まで忘年会新 […]

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