◆闇風呂のすすめ

入浴するとき、脱衣所の電気をつけたままにしている。代わりに浴室の電気はつけない。

これを始めたのはわたしの怠惰さからだ。

想像していただきたい。まず脱衣所の電気をつけ、服を脱ぐ。浴室の電気をつけて脱衣所の電気を消し、入浴する。そして風呂からあがるときに浴室の電気を消してまた脱衣所の電気をつける。この間およそ2,30分、電気のオンオフは4回。さすがにちょっと多くはないか。他の生活場面を思い浮かべても、ここまでオンオフを強いられることはない。

そういうわけで始めた暗がり入浴だが、脱衣所の電気のオンオフだけなのでまったくめんどうくさくない。むしろ、他のメリットがちかごろは際立ってきた。

湯船につかっているとき、仄暗い感じがリラックスを促す。効果としては間接照明に近いのかもしれない。少し調べてみたところ、巷では「闇風呂」というらしい。しゃれた空間にするためにアロマキャンドルを導入することもあるという。闇風呂は文字通り「闇」なので、視界に入ってくる情報が遮断され、日頃酷使している目の疲れを癒やしてくれる効果もあるという。また、それによってからだの緊張や脳の疲れも取れやすい……らしい(これはちょっとまゆつばだ)。

もうひとつは、ちょっと怪しい響きがあるかもしれないが、神の声が聞こえやすくなる。わたしは特定の宗教に入っているわけではないので、あくまで概念としての神だ。アニメなどにある「天の声」的なものを想像しただけるとよい。

浴槽につかっているときは思考がしぜんと動いていく。日常場面のときのような「AがBだからCだな」とか「DということはEにもなりうるのではないか?」とか、考えない。ぬるま湯は体だけでなく脳をも弛緩させ、ゆるやかな思考の旅にわたしを誘う。ある程度すすむと声がしてくる。創作の流れや今後の生き方について教えを授かることが多い。これはわたしの脳内で作り出したわたしの意思にほかならない(と思っている)のだが、どうも神というかたちで現れるのがすきなようだ。このふわっとしたトリップ感も、なかなか心地よい。

ここまでいいことばかりを書いてきたが、ひとつだけ気をつけなければいけないことが「寝落ち」だ。浴室が明るい状態でもへいきで寝落るので、注意を払いつつ闇風呂ライフを楽しみたい。

今日も読んでくださり、ありがとうございます。同居人に話したらとっくにやっていたそうです。おそらく「めんどくさい」から出発しているけれど、神の声が聞こえているかはちょっとわからないです。

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