◆感想『九条の大罪』第66審「至高の検事」2

今週のお話

2週あいたのでだいぶ久しぶりな感じがする。お話の流れとしては、壬生の後輩でポカばかりやっている森田が、薬物使用と器物損壊でつかまっているのだった。その弁護を、壬生が九条に依頼したところで前回はおわった。壬生がいうには、森田本人はどうしようもない人間なのだが、父親が建設会社の社長でつきあいがあるので、仕方なく面倒を見ているという。それを聞いて、九条はブラックサンダーの散歩を中断し、休日返上で接見に向かうのだった。

拘置所にて、森田は実刑を免れないのか開口一番尋ねる。九条は、薬物の陽性反応に薬物所持、しかも器物損壊ときたら難しいと告げる。また、交通事故での執行猶予中の再犯になると釘を刺す。ふたりの表出はうすく、様子をうかがいあっているようにもみえる。牢屋で考える森田の姿が描かれる。エンジンを吹かせる九条は、森田の態度に違和感を覚える。それもそうである。第1審の交通事故の際は、死に物狂いで無罪を勝ち取れないか、九条にすがりついていた森田である。落ち着き払ったようすが気になるのに無理もない。そして、またも「日本一のたこ焼き」がでてくる。気になるものの、車が停めづらいので買うのが億劫になるのだと。「日本一」と表明するだけの価値があるのかどうかについては、まだ判然としていないようである。

場面は警察にうつり、森田の交通事故の件について、スマホを失くしたといっていたことが嘘で、どこかにスマホを置いていったことをどう証明するか、という話をしている。やりとりしている眼鏡のキャラクターは、初登場だろうか。嵐山は立証するポイントを3つ話す。ひとつは本人の供述で、森田のような自分のことしか考えていない人間は、もう少し揺さぶれば吐くだろうと嵐山はみている。ふたつめは別の参考人の証言で、本人の供述と証言の一致をこころみる。そして最後が客観証拠で、相手の男が先に発信している。この3点が揃えば、九条を有罪にもっていけるのだという。すぐ、後輩の深見が操作資料をもってきて、森田のスマホを解析したと報告があった。薬物の売人とのやりとりはLINEにはなかったといい、Twitter等で売人と接触してテレグラム(ロシアのメッセージアプリケーション)で商談をしたり、クラブ等で手渡し購入したのだろうと踏む。嵐山は今回、売人までは追わないようで、薬の元締めは伏見組の京極に辿り着くと構えている様子だ。今回は目の上のたんこぶである九条を追うといったところだろうか。さらに、iPhoneの位置情報サービスで利用頻度の高い場所を調べたのだが、自宅を覗くと父の建設会社と子会社の産廃業者、自宅から近い駅前のパチンコ屋が最も多いという。それを聞いて、嵐山は森田が出頭してきた日の履歴をたずねる。深見は九条の事務所が履歴に残っていたことを伝え、そこから嵐山は、それが客観証拠になりうると着実に詰めていくのだった。

壬生と落合、天井キャンプでキムチグラタンを作って食べる九条。壬生はまず、森田の件を謝り、嵐山の動きが気に入らないのだという。九条は嵐山の動きを将棋にたとえ、壬生や自分を経由して京極へ辿り着こうとしていることを話す。壬生は要領よく理解し、森田が寝返るリスクに言及する。警察側としても、強制捜査で弁護士事務所に手をかけるのはかんたんではないらしい。ただ、勝算がみえれば徹底的にやられる、と九条は冷静に分析するのであった。

一方そのころ、流木が警視庁の刑事から電話をとったと、烏丸に電話をわたす。早速、警察サイドは動き始めたわけである。電話の相手は嵐山、通例でないことをことわったうえで、本庁への呼び出しを受けるのであった……。

感想

烏丸は流木の事務所にいったんいるようなかたちなのかな。流木のところに電話がいったのはちょっとよくわからないけれども、弁護士の所属でわかるのもなのかしら。

さて、このまま、着々と九条と壬生が詰められていくのだろうか。烏丸はすぐに答えずに今回は終わっているので、いろいろな思いが逡巡しているのかもしれない。3つの証拠についても、森田が最悪寝返ったとしても、客観証拠と第三者の証言が食い違うことで証拠不十分」にもっていくことはできてしまうので、そこまでハラハラせずに読み進んでしまった。し、別の参考人の証言は、だれからとるのだろう?事故のとき、弁護士事務所に行くとき、壬生が紹介したのは覚えているのだが、他にだれかいたかな。

九条のしごとの流儀として、そういった人間でも断らないというところはあるので、今こうなってしまっているのは因果応報ともいえよう。が、そのリスクものんで受けているわけで、そこまでするのは何故なのだろうといったところが、烏丸にも流木にもある思いで、正義に対する侮辱だと考えているのが蔵人なのだろうな。

鍵をにぎるのは烏丸だろう。どうとでも言えてしまうところになるので、次回が要チェックというところか。そしてサブタイトルである検事のぶぶんはまだちょっと出ていないので、もう少し読み進めていくなかで明らかになればとおもう。そしてあわよくば、今回のことを契機にまた、烏丸が戻ってくるとか、少し距離がちぢまるといいなあ。

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