長らく体のある部分のことで、こまっている。「鼻が低い」とか「色が白い」とかいう、いわゆるコンプレックスではない。

そのパーツは歯である。体のぶぶんでもっとも固く、毛や爪のように生え変わることのない、一生もののパーツ。その、歯磨きのモチベーションが保てない。とうぜん衛生上の観点から歯磨きは食後におこなっているが、ちゃんとできているかというと、あやしい。今まで大きな歯のトラブルはなく、それ自体がおおきな収穫のはずが、わたしから見ると「何もおこっていない」ので、やっている意味がわからなくなってくる。体重の数値や肌の状態とちがい、歯はじぶんで見ても成果がわかりづらい。歯科の場合「何かがおこっていれ」ば、おおむね「受診必須」の状態なのだが……。

歯医者の清掃がだいすきで、トラブルがなくても歯医者に行く。機械の高音はきらいだけれど、ひとに腔内をいじられるのはなんだかきもちいい。唾液をすいとるチューブがうっかり舌に張り付いてしまうのもすきだ。思えば親不知を抜くときに打った麻酔も、痺れていく感覚がくせになる。あと一本残っているのでいつか抜きたい。

さいごに、医師の所見が入る。先生の話はわかりやすいけれどちょっと長い。めったに来ないので、そんなところもちょっとすきだったりする。

「現状をキープしましょう。これ以上悪くしないというのが、歯を守るために大事です。どれだけ長く歯のケアを続けられるかが、そのまま歯の寿命になります。」

いつもこう言われて、言われた瞬間はハッとして心を入れかえるのだけれど、日が経つとモチベーションが下がっている。100%の状態からスタートするのが達成感を削いでいるのだろうか。体はおおよそ残ゲージ100%からはじまり、老化やストレスや気候等の要因によってトラブルを起こす。歯も肌も胃も、おなじはずだ。歯がほかの部分と違うのは「一度悪くなると決してよくならないし、悪くなればなるほどケアが複雑になる」ことだ。

上でも書いたとおり、歯に関してはだいぶ平穏につきあってきた。りくつがわかって実感の伴わないものをがんばるのには、なにか別の起爆剤が必要な気がする。歯磨きがだいすきな方や、歯のことを気をつけている方があれば、そのわけをぜひ教授していただきたく思う。

今日も読んでくださり、ありがとうございます。まだ20代なせいか脳や髪や骨にかんする想像力はとぼしく、不可逆の代表として歯がでました。