今回ほどサクサク話が進んだ回も今までなかったのではないか?ウシジマくん編61、総話数は475。500までに終わらせる魂胆だろうか?それともこのあとがもっと書き込まれるのか?さまざまな邪推が交錯する。いずれにせよ、各陣営の事情を詳細に描いており、たいへん読み応えがある。
展開が大変スピーディでいろいろなことが起こったので、まず出来事だけを列挙してみる。そのあといつものネタバレと感想をやります。
- 滑皮:梶尾を殺害した輩へ復讐を誓う。
- 滑皮:シシック本部で梶尾の死を報告。あきらかに震える竹腹を怪しむ。
- 巳池:獅子谷をハメたキャバ嬢・美咲を見送る。
- 巳池:竹腹の動揺を豹堂に報告。早急に対策を取ることに。
- 竹腹、逃げ込んだ先で突き落とされて死亡。
- 巳池:鹿島殺害に関する音声データを鳩山に送ったことを連絡。
- 鳩山:滑皮を呼び出す。
盛りだくさんである。そして、どれも確定的な証拠に欠ける印象だ。竹腹の死体がなかったり、送った音声の内容が書かれていなかったり、なんだかふわっとした回だ。
- 滑皮:梶尾を殺害した輩へ復讐を誓う。
滑皮と警察・国重の会話シーンから今回は始まる。梶尾は相当な拷問ののち、頭と腹に一発ずつ食らって死んだという。「慣れた手口だな。」というセリフから、どうやら竹腹の単独犯ではなさそうだ。前回以前の竹腹の描写を見るに、一人で梶尾をここまで追い詰める器ではないからだ。拷問の内容はおそらく、鹿島殺害の件であろうが、詳しいことは書かれない。
国重の管轄する地域がどうやら梶尾の死亡現場だったらしい。滑皮は犯人を尋ねるも、国重はわからない、むしろ心当たりがあるのではないか?と訊く。敵討ちは考えるな、せめて自分の管轄で騒ぎを起こさないでくれ、と伝えて国重は去る。ウシジマ世界の警察らしいせりふである。鳶田は国重の態度に不服なようで、愚痴を漏らす。滑皮は鳶田を宥め、案の定梶尾の敵を殺害することを心に決める。ここまでの流れは、熊倉が死んだときと同じである。「サツより先に」と滑皮は意気込むが、ウシジマ世界の警察は無能なのでおそらく大丈夫だろう。
滑皮としては豹堂に目星をつけるのが自然だが、どう切返していくのか、今後目を見張る必要がありそうだ。 - 滑皮:シシック本部で梶尾の死を報告。あきらかに震える竹腹を怪しむ。
滑皮は、どんな些細な情報でもいいから教えろとシシック幹部連中に詰める。滑皮が中心に立ち、シシック幹部が正座して輪を成すところを見るに、力関係が如実に表れている。獅子谷(兄)が見たら即・幹部たちの耳をもぎ取りそうな光景である。やはり獅子谷(兄)の死後、シシックのもつパワーは大きく欠けたと言わざるをえない。獅子谷(弟)があっさり死んだのも、この差を見ると頷ける。
滑皮は、明らかに怯える竹腹を怪しむ。視線を逸らさず詰めてくる滑皮に、竹腹は今にも真相を話してしまいそうないきおいだ。そこで仲間の一人が竹腹をカバーしてその場は収まる。「シャブの後遺症で気持ちの上下が激しくて……。」という、ちょっと苦しい言い訳。
仲間たちは梶尾殺害の件を知っているのだろうか?それによって、豹堂の有利・不利がだいぶ変わってくるので、気になっている。ひとりくらい滑皮の肩を持っていた……という展開もありえなくはないだろう。
怪しんだ滑皮は、戌亥に竹腹の調査を依頼するよう鳶田に命じた。おそらくここから豹堂とのつながりが判明するのだろうが、鳩山に鹿島のことが伝わるのと一体どっちが早いのか。両者とも内部の人間を殺害しあっており、仮に両方とも明るみに出た場合というのは、鳩山の座布団を誰に譲ることになるのだろう。
一方、滑皮から解放された竹腹はスマホで連絡を取っている。豹堂陣営に、身柄を匿ってくれとでも懇願しているのだろう。 - 巳池:獅子谷をハメたキャバ嬢・美咲を見送る。
獅子谷(弟)が行った強盗の情報をリークした結果、獅子谷一行をハメることに成功した女が美咲である。ようやくホテル暮らしを解かれ、マニラに身を隠すこととなる。以前の話でどっちみち人身売買の業者に引き渡すと言っていたから、その件だろう。ゆるやかな笑顔で巳池は到着後のことを説明し、美咲を見送る。豹堂の車に戻り、美咲の件は一段落する。 - 巳池:竹腹の動揺を豹堂に報告。早急に対策を取ることに。
その後、竹腹から連絡がきたことを伝える。予想以上に怯えてしまい、匿ってほしいと泣きつかれたらしい。豹堂は、滑皮に真実が漏れる前に対策せねばと考え、巳池の嫁が経営するネールサロンの空き部屋に匿うよう命じる。本編とは関係ないが、ネイルサロンではなくネールサロン。 - 竹腹、逃げ込んだ先で突き落とされて死亡。
電気も水もない相部屋に竹腹は身を隠す。ゴミ袋が散乱する雑然とした部屋だ。セキュリティは万全、指名手配犯も匿った実績があると相部屋の住人は言う。それでも恐怖が抜けない竹腹に、住人は、豹堂の陣営が特別にネタ(覚せい剤)を用意してくれたので好きに使えとすすめる。竹腹は震えた声色で礼を言い、ネタをキメる。気が昂ぶったのか「殺しにきてみろ…全員ぶっ殺してやる…」と強気な台詞。それにそぐわない憎悪の表情と発汗。やはり、弱気な半グレ男・竹腹にとって殺人は荷が重かったようだ。それにしてもこのコマのペットボトルや缶の量がすさまじい。ここに来た人間の不安定さが容易に想像できる。
同居人の吉原という男がふすまを開け、酒盛りを提案してくる。竹腹と違うスウェットなので、違うグループの人間だろう。フレンドリーさを感じさせる言い回しに、竹腹は乗る。竹腹はヤクザが嫌いだというが、豹堂だけは付き合いがある、と話す。吉原は「非常事態の時だけは頼りになるよな。」と調子を合わせる。「アジトもネタも容易してくれて感謝しかねーわ。これで女とヤレたら最高なんだがな。」というのはおそらく竹腹の台詞だろうか?ここまでしてもらっておいて、女を求めるとは欲深いことこの上なしである。ネタを決め、酒を飲んだことで気が大きくなっているのは否めない。吉原は竹腹をポン中(薬物中毒)臭いと指摘し、窓を開けるよう指示する。竹腹は人に見られたらどうするのだと正気の返しをするも「細かいことを言うな。」と一蹴され、渋々従うことに。ここでの力関係は明らかに吉原が上で、仮に逆らえばこの場をも失ってしまうのだから、仕方がない。
窓を開ける竹腹を見て、吉原は対面している男に目配せしている……のだろうか?竹腹は後ろから押され、ビルの上から突き落とされる。酒と薬が入っている相手だとしても、揉み合うことなく突き落とせるとは、そうとう力のある男だ。場所は新宿なのだろうか?そこそこ高いビルが立ち並ぶ背景だ。 - 巳池:鹿島殺害に関する音声データを鳩山に送ったことを連絡。
巳池は別のビルの外階段から豹堂に電話をかける。竹腹が飛び降り自殺したことと、梶尾の拉致に協力した二人が福建省に帰国したことも伝える。話の流れからして、自殺という形で処理したというニュアンスは豹堂にも伝わっていると思われる。マニラといい福建省といい、豹堂は海外とのコネクションがそこそこ描かれているなぁ。
また、梶尾を拷問して吐かせた鹿島殺害の真相も匿名で鳩山の携帯へ送ったらしい。これで滑皮の汚点が明るみにされ滑皮は「詰み」だと伝える。将棋を例にとって話していた豹堂に呼応する言い回しである。
巳池が誰かと内通していなければ、シナリオは豹堂の描くとおりに遂行されたといえよう。これも因果なのか。果たして想定外の事態が入るのか?
鳩山がどんな音声を聞いたのかがわからないのが読者としてはもやもやとするところだ。梶尾は本当に真実を話したのだろうか? - 鳩山:滑皮を呼び出す。
深刻な面持ちである。
果たしてしっかり鳩山に音声が届いているのだろうか?というのも鳩山が音声を聞いているシーンがないので、送られたものが何なのかを、読者は都合よく想像することしかできない。戌亥の動きでどうにでもなってしまうので、戌亥の描写が全くない回というのは未確定な感触が残る。
なんと来週は休載なので、つぎは再来週である。残暑厳しいなかウシジマくんのない月曜日というのは、生きる気力が回復できずになかなかつらいものがある。
コメント
[…] 前回分はこちら。二週間空くと待ちわびるぞ真鍋ァ!!!ウシジマくん由来ではないにしろ体調も悪く、つらい二週間であった。 […]