◆23年度行政書士試験のこと

概略

このたび、23年度行政書士試験を受けてみた。結果は1月末なのでまだわからないが、なぜ11月半ばの今書いているのかというと、以下の3点である。

  1. TOEICやこれまで受けてきた資格試験とは勉強のアプローチだったこと
  2. 他でも応用しうる勉強の仕方が身についたこと
  3. 勉強にタイムマネジメントが有効なこと

受けたきっかけ

23年のゴールデンウィークあたり、しごと関係で法令系の事項がちょこちょことあり、法律の知識があった方がいいなと思ったのと同時に、ちょっとしごとが嫌になっていることも手伝って、今しているしごととはあんまり関係のない資格を取っておけたら、いざというときによいのでは?と思い、法律系の資格の中で最も手を出しやすいものを調べた結果、受験に至った。なので、受かったから即開業するというわけではないし、もしかしたら一生使わずに終わるかもしれない。

勉強法

この半年間、終始独学で取り組んだ。模試も会場では受けず、LECさんの直前模試、みたいなやつを2回分取り寄せた。ただ、まったくはじめからひとりで考えて取り組んだわけではない。勉強でもゲームでも技芸でも、先人のやりかたを探して真似てみるのがいい。

参考にしたもの

Kindleで「99日で受かる!行政書士試験 最短合格術」(遠田誠貴・著)という本を見つけた。著者は2018年度の試験に合格された方なのだが、同じく法律の初学者であること、勉強することが苦痛でないことの2点に親近感を覚え、購入した。各教科の出題の特色や、おすすめ教本、効率的に受かるための手法(捨て教科)を端的にまとめてくれている。入門書から予想問題集まで、この本に掲載されているものを購入した。

勉強時間

インターネットで「行政書士 勉強時間」などと検索すると、法律初学者で800-1000時間と出てくる。たんじゅんに6ヶ月およそ180日で割ると、1日2-5時間だ。800時間であれば、なんとかいけるか?ということで、これまでの月次にも書いたように、平日2時間、休日3時間(さすがに直前の休日はもう少し増やした)取り組むようになった。やってみて思うのは、体系的な学びができるまでは無駄が出やすいことだ。後半の勉強効率はそこそこよく、記述式は最後の2週間で問題集及び模試5回分の回答を暗記でき、本番の択一の際にも役立った。受けた後でこういうのもなんだが、あと1,2週間あればかなりの精度まで仕上げられたように思う。まぁ、終わったので仕方ないけど。

とはいいつつ、平日にしごとに疲れて2時間を割ってしまう日も多く、実際800時間に達したのかどうかはちょっとわからない。結局は集中できたかどうかとインプットされたかなのだと思う。

取り組んだ科目

配点の高い行政法・民法に半分以上の時間をかけ、あとは憲法を1/6くらい、情報通信・個人情報保護を最後の2,3週間集中して取り組んだ。

逆に言うと、残りの基礎法学・商法・一般知識の情報以外は模試で解いたのみで、商法は範囲が広い割に20点にしかならないため、解説すら読んでいないので完全に感覚である。一般知識も範囲が広すぎて対策不可なので、試験の2,3日前に今年度の論点解説動画(要はヤマ張りだ)を、寝る前にyoutubeで聞き流していた。じっさいの試験は日銀を扱った問題が出て、迷った結果、正答できたので聞いてよかった。一定の教科をやらない不安もあったが、範囲が膨大すぎるものをやることで、確実にとれる行政法・民法を落とすことのほうがこわかった。

有用だと思った勉強の教材・やりかた

よかった教材

肢別問題集は必須だろう。いくつかあるようだが、本にあったように、早稲田経営出版さんのものを用いた。科目ごとに切って持ち運ぶと通勤時取り組みやすい。ゲーセンの待ち時間にも(ちょっとうるさいけど)。

何より、独学でつまづくのは民法ということで、民法は上の本にもあったように、肢別問題集ではなく公務員試験用の新スーパー過去問ゼミシリーズ(以下、スー過去)を使用した。こちらは民法独特の考え方がまとまっており、回答をミスしたときにどこでミスしてしまったかがわかりやすい。肢別の解説は淡白なので、憲法や行政法のように「そういうものか」と暗記する科目はいいのだが、民法はさまざまな場合分けがあって、組み合わさって出てくるので、肢別の解説だけだとなぜそうなるのかがわからない。基本書である「国家試験受験のためのよくわかる民法」も、スー過去にない論点を解説してくれており、助かった。今はyoutubeにも解説動画が多く上がっており、中でも「ゆーき大学」の行政書士試験のチャンネルの解説は、身近な例をとってくれており、わかりやすかった。有料コンテンツ前提で展開していることもあり、すべての論点は網羅されていないのだが、民法で混乱する抵当権や物上代位など、主要なところはおさえている印象をもった。

そして、やはり予想問題集や模試はよかった。肢別やスー過去で取り組んだところで、抜けやすいところや、それらが触れていない論点や直近の判例を用いた設問があり、肢別とスー過去がマンネリ化してくる9月頃に知識の補強ができた。

よかったやり方

昔から授業を聞くのが苦手で、授業でやっているのと違うおはなしを読んでいたり、資料集を見たり、算数の単元を先に読んで解いている学生だった。ようは、受動的に話を聞き続けることができない。行政書士試験の範囲は広く、テキストを読んでから問題を解くのだと退屈して投げてしまう。それなので、まずは2022年度の問題を解いてどれくらいわかっていないのかを理解し、「読まないとだめだな」とわからされてから、テキストを使いながら理解していった。そのあとはひたすら肢別を解いて、ミスや解答の根拠に欠けるところはテキストに立ち返る……を繰り返した。民法はスー過去だったので、読んで解く、をくり返すので済んだ。

もうひとつは、科目ごとに取り組むことである。憲法の時期、行政法の時期、民法の時期など分けてやっていくと、短期集中で論点を一周できる。少し時間をおいてまた一周すると、記憶の定着度も確認できる。そのため、肢別問題集や問題集はすべて科目ごとに切って製本し、時期ごとに持ち歩いていた。

試験の2,3週間前から論点確認ノートを作ったこともよかった。これも本にあったものをそのまま真似しただけなのだが、試験日の持ち物がこれだけで済んで、慌てずに取り組めた気がする。本には1ヶ月前とあったが、わたしはもたもた勉強していたので1ヶ月前だと論点だらけになってしまっていたのだ。同時に開始した記述式についても、覚えられないキーワードを試験前日に書き出しておいた。

遠田さんの本はおそらく、行政書士に限らず使える勉強メソッドが書かれていたのだと思う。

合わなかった勉強の仕方・教材

合わなかった教材

  1. ユーキャンさんのアプリの一問一答。これは肢別に準ずるかなと思いつつ、シンプルすぎて行政書士試験の活用には不適。論点も少ない。行政書士にかんして、アプリでの学習は不適だった。
  2. 千本ノック(肢別の最終チェック版のようなもの)も、そこまで試験問題と重なる部分はなく、2冊同じようなものをもつなら肢別を完璧に仕上げたほうがよいような気がした。
  3. 条文集
    必要だ必要だと思いつつ、歴史の年号を入れるようでつまらなくて、全然捗らなかった(ほとんど使わず……)。とはいえ、条文は問題を解いているとでてくるので、国会関連の数字や行政法の期間等はそれで覚えることも多く、なくて困ったシーンはさほど多くない。
  4. 判例集
    法律特有の文言に慣れるのにはよかったし、興味のある事件はスルスル入ってきたが、興味のない事件だと全く入ってこなかった。細かい文言も、ツボに入らないと全く記憶が定着しなかった。これは昔からそうなので仕方ないのだが、試験となると、憲法の判例問題の穴埋めが最後まで安定しないので困った。結局本試験も憲法の穴埋めは0だった(資格予備校講師の講評によるとむずかしいらしかったが……)。

合わなかった勉強の仕方

これは既知の事態なのでここに書くまでもないが、インプットが続くことや、無味乾燥な数字がひたすら続くのはつらい。それと、理屈がわからない、もしくは「ひたすら覚えろ!」というタイプの勉強法が不向きなことが改めてわかった。

受けてみて

各サイトの解答速報をみて回答を確認したところ、択一で152点(択一+記述で180点で合格)だった。び、微妙〜。記述は3問あり(20点*3問)ひとつ満点をのぞめる出来だったものの、あとふたつが非常におぼつかない感じで、部分点すら怪しく、なんか「ちょっと足りなくて落ちそう」がリアルなところだ。実のところ、受かるか落ちるかより、落ちていたときに次を受けるかどうかの方が悩ましい。勉強じたいは苦ではないのだが、もう少し行政書士という資格自体をとることの目的意識がないと、モチベーションがなくなってしまいそうな気がする。

今後のこと

今回行政書士試験を受けてみて一番よかったのが「勉強をルーティン化することで、他の余暇時間やしごとのメリハリが出る。」ということだ。これまで休日や帰宅後にだらっと過ごすことも多かったので、それならしごとをしよう!とやりすぎてしまうことや、やることが決まっていない日にだらだら過ごしてしまうことが多く、疲れ過ぎてしまうことや、不全感いっぱいで終わってしまうこともあった。一方、今回のように勉強を入れて、その他の貴重な時間をあそびや休息にあてることで、相対的に「勉強がんばったし」と自身の行動を評価したうえで報酬にありつける。また、勉強時間を確保するために、やりすぎてしまっていたしごとのセーブができる。これによって、自然と余暇時間の健全度が高まったのだ。これが何よりの収穫だった。

そんなことなので、今後も勉強ルーティンを続けながら、しごと及び余暇時間のマネジメントをしていけると、いい感じなのかなーと思う。ただ、行政書士レベルだとかなり勉強にもっていかれるので、もう少しゆるく取り組めるものがいいなあ。

読んでくださり、ありがとうございます。とりあえず、去年簿記を投げちゃったので年度いっぱい使ってゆっくりやろうと思います。

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