◆感想『九条の大罪』第83審「至高の検事」19

今週のお話

九条の取り調べ

前回の終わりに対面した、九条と嵐山。第1審で九条が助言した「完全黙秘で20日間で釈放」狙いか、と嵐山に問われるも、九条はこたえない。時間はまだあると、嵐山はどっしり構えている。脳裏には、10年前に犬飼らに、元はといえば壬生の命令で殺された愛娘の姿がよぎる。嵐山としては、悪人を助長する弁護士は野放しにはできず、今回のような犯人隠避で起訴され、弁護士を除名されたほうが世の中のためだと、感情的な持論を展開する。九条は「そろそろ夕飯の時間ですね。」と取り調べの終わりをにおわせ、捨て台詞のように、京極が慌てているであろうことを話すのだった。

京極と山城

接見室にて、ふたりがやりとりしている。山城は隠し持っていた武器の量に驚き、少なくても10年は懲役が課されるだろうと告げる。それに対して京極は、九条を引き合いにして逮捕のことを尋ねる。反応する山城だが、なるほどこれなら伏見組と付き合いのある弁護士(山城だったのね)のこと、壬生が九条を京極に紹介したくなかったのがよくわかる。いっぽう山城は、九条の逮捕については知らないようだ。なんにせよ、京極は苦情が逮捕されたことについては、仕組まれたことだと察しはよく「壬生は許さん。」という。当の壬生は、牢の中で中国の帝王学の筆頭である『貞観政要』を読んでいるのであった。それにしても、山城はやりづらそうだな。

久我と菅原を探す……

歌舞伎町にある店の中で、ひとりを複数がバットで殴打している。久我と菅原を探しているらしいので、おそらく伏見組の手下だろう。裏路地で久我が菅原と通話している。どうやら2人を血眼で探しているらしい。動きが早いなー。組に狙われそうな幹部には、秘匿性の高いメッセンジャーアプリで身柄をかわすよう指示したが、返事の返ってこない者は手遅れだったという。いっぽう菅原は、韓国行きの航空チケットを送っているので、早く東京から離れるよう促す。それに対して久我は、壬生が自分に任せているので、できることをしたらすぐに向かうという。しかし、その表情は不安げだ。

鞍馬検事と記者・市田

実は「情報」を介してつながっていた検事・鞍馬と新聞記者・市田だが、九条の逮捕について話をしている。市田からそれを聞いて、自分の耳には入っていないが、こうなることの予測はしていたという。余裕のある表情で、兄弟の縁を切っているので関係ないのだとドライな対応だ。無意識にタバコを取り出そうとするも、市田から喫煙所への移動を提案されると、箱をたばこに戻す。九条の話は、長引かせたくない、語ることはないといった意向のあらわれだろうか。「まともな弁護人もつかんだろ。」という鞍馬に対し、市田は元イソベンだった烏丸が弁護人をやるのでは、となかなか鋭い。思い返せば、市田に菅原の法人の情報を流したのは烏丸だったな。烏丸の名前を聞いた鞍馬は、かつて法廷で争ったことがあり、筋がよく、検察官にスカウトしたい人材だったというのだった。

そのころ、烏丸はどこかの公園で、九条から託されたブラックサンダーとピクニックの最中であった。

感想

さて、烏丸と鞍馬も接点があったらしい。めっちゃ世間狭いな!となってしまうが、実際に弁護士をしているとエリアも限られてくる部分があるとは思うので、本編のような感じなのだろうか。以前、流木との電話のシーンで鞍馬姓を名乗っていないことについては話をしていたが、烏丸が反応しているポイントは、九条が父と親子の縁を切っているシーンだった(第9審より)。なので、いまいち繋がっていないのか、繋がっているがそういう反応なのか、よくはわからない。

そして、山城と伏見組についても、つきあいのある弁護士、という話がだいぶ前にあったが、それが山城だったのかな。九条の名前に反応するのも、頷ける。今回ここで、九条、山城、流木がひとつの事件をめぐってつながる。それぞれのスタンスや、まぁ九条は逮捕されているのでその弁護をおそらく流木の推薦していた亀岡が、それぞれやってくれるだろう。

いろいろな登場人物がいて、知っていること・いないこと、まちまちなわけだが、書き出してみて、彼らが「九条の逮捕」という一点だけは、今回の話の終了時点において、知っている状態である、というのが興味深かった。これを機に大集合しているわけである。この先の展開も、誰が何を把握している・いないのか、気にかけながら見ていくといいのかな。

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