社会主義国家の頃のルーマニアで生まれ、チャウシェスク独裁を抜けて資本主義へと移行していくなかで育った著者が、日本の文学と出会い人類学者として暮らすまでのことを細やかにつづったエッセイ。
一時期、独裁政権のことを調べるのにはまっていた時期があり、チャウシェスクもその頃に知った。彼の独裁の名残が今でもあるというのだから、為政者をえらぶのには慎重にならなければいけないな、と思わされる。
著者はちょうど、チェルノブイリ原発事故にもたちあっており、腫瘍をとるための手術をしたり、恋をしたとおもえば、離されたり、その合間に映画をみたり、日本のことを知ったり、、、と、いろいろあるなかで、東北の大学院にすすみ、今は家族と生活しながら研究をしている。結果としてよかったな〜と思わされるのだが、そこまでの道のりがやはり、ルーマニアの独特の情勢やそこで多感な時期を過ごしたということ、いっぽうで今、子どもの無垢な目線から放たれることばを聞いて新たな気づきをえる豊かさも持ち合わせており、懐の大きな人なんだろうなと感じた。
他のエスノグラフィーも読んでみたい。
コメント