◆空腹

おなかがすいている。いつもとちがうことがあるとしたら、今日は健康診断があるので朝ごはんを食べてはいけない、ということだ。いつもの朝ごはんはきなこ牛乳やプロテインなのでたいしたものは摂っていないのだけれど「食べてはいけない」と意識すればするほど、むだにおなかがすいてしまう気がする。健診後のためにかばんにしのばせたおやつのことが頭をよぎる。ひとの脳はなんとも欲深くできている。いかなる状況下においてもしぶとく生き延びるための、本能なのかもしれない。

それにしたって、朝の5時にすっきりと目がさめたときからおなかはぐうぐう鳴っている。せっかく早く起きておいてもったいないけれども、朝ごはんなしでいつもどおりの時間を物書きに費やすエネルギーはない。ふたたびねむるのもむずかしかったので、小一時間ほどふとんの中でぼーっと過ごした。いつもは聞こえないような、細く長く、そしてメロディアスなおなかの音がした。笛のような音だった。音がいったんおさまると、冬特有のふとんの温かさもあるのか、目を閉じたくなった。太った四角と三角の石が重なった、墓のようなそっけない塔がみえた。空は明るいのに満月のイラストも描いてあった。塔はぼやぼやとシルエットを揺らし、徐々に薄くなっていった……。

……少し眠ってしまったようだ。いつもより遅くふとんを出て、この文を書き始める。書いているうちに、空腹のことが気にならなくなってきた。ここでわたしは気がついた。ひとつのことにぐうっと集中してしまう質なので、おなかがすいていることにつきあわないほうがよかったのかもしれない、と。時すでに遅し。そろそろ出ないといけない。

いつもどおりに起きて書いていたほうがよかったのだろうか。そうしていたら、ウシジマくんの感想を書けたかもしれない。長らくウシジマくん関連の記事を書けていないし、今日は個人的に大きなポイントもあったし、もったいなかったかなぁ。だけど考えて書くのにはエネルギーがいるだろうし、これでよかった気もするわ?

今日も読んでくださり、ありがとうございます。やっぱりおなかがすいてきた気がします。

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