◆きみが消えるとき

わたしの楽しみは、週間ビッグコミックスピリッツに連載されている『闇金ウシジマくん』の最新話を追うことだ。ウシジマくんを知らない人に、どれほどこの作品がすきかを表したいときはいつも「毎週の（げんみつにいえば、時々休載するけれども）ウシジマくんが生きるたのしみなので、終わったときにどうなってしまうのかわからない」と言う。そうすると話の内容がわからない人も、わたしの脳内のウシジマ割合をだいたい想像できるようだ。
おそらく連載が終わっても「もう生きる楽しみがない……」と絶望してしまうことはない（と思いたい）のだけれど、それなりの衝撃がわたしを包むことは目に見えている。最終章も佳境なのでぐんぐん物語に惹かれてわくわくするし、今後の展開は気になるし、ちゃんと完結してほしいけれど、終わってしまう日はきっとさびしいし、「次号、最終回！」などと煽られた日には有給をとって偲ぼうかというきもちすら出てくる。打ち切りになる感じのまんがではないので、こういう煽りが挿入されることはないと思うけれど……。とにかく、整理されないごたまぜのきもちが毎週月曜はやってくる。今日だってそうだ。読めることはうれしいが、確実に終わりへと近づいている。
最近になってようやく、ウシジマくんが終わったあとのことを考えなくてはいけないと思うようになった。いったい何を楽しみにして月曜日を乗り切り、生きていけばいいのか。そもそもウシジマくんがなかったときに、わたしは何を楽しみに生きていたのだろう？たかだか3,4年前のことだというのに、思い出すことができない。人生の楽しみを失うと（まだ失ってもいないのに！）こうも人間はつらくなるというのか。考えているとぐったりしてくるので、だいたいやめてしまう。楽しくないことを考えるのはにがてだ。
しかし一方で、ウシジマくんは連載漫画なので終わりの予告がある。「最終章　ウシジマくん」という文字列がその証だ。予告があるのだから、ぼうっとしてはいられない。残りの連載期間がわたしの、ウシジマくんに代わる楽しみを発見する猶予なのだ。終わるのが先か、新たな楽しみが見つかるのが先か、これはわたしの戦いである。
今日も読んでくださり、ありがとうございます。ウシジマくん関連のエッセイを書くといつもまとまらなくなってしまいます。