■相と創

先日、手相を見てもらった。占いは関心があるほうではないのだが、以前書いた「揚げたてのあつあげ」と同じで「手相やってます」と気軽に書いてあったのを見て、「どれどれ」という感じでおねがいをしてみた。

話によると、手相はひとの強い感情を刻むものだというが、両の手をとおして、過去・現在・未来がぎゅっと凝縮されているという。未来の強い感情ってなんだろう?どうしてなんだろう?そんなことを思いながら話を聞く。おそらく、いろいろな説があると思うので「そうなんだ〜」というノリで聞いてしまったところもあるが、寄り道のように、普段ふれない世界に入っていくとなんだか新鮮な感じがした。占星術などは星をよむが、そこに物語を見出すというのはロマンティックで、手相もそれと似ているのかなと思った。

帰ってから思ったのは、手相は傷痕に似ているなということだ。それこそ戦乱の世では「名誉の傷」と呼ばれるものもあり、バトルマンガでも、歴戦の覇者は顔に大きな傷痕があることがある。このように、強さや勲章のようにあつかわれることもあれば、逆に「あの傷は敵につけられたんだ」と、敗北を忘れないための傷もある。余談だが、わたしだと真っ先に「ファイナルファンタジー8」の主人公、スコールを思い起こす。ストーリー開始まもなく、ライバルとの模擬戦で額の傷をつけられる。

ところで、「創傷」ということばがある。みてのとおり、傷がつくということだ。ちょっと気になって調べると、創という漢字は刀で傷をつけることが語源だという説があった。つまり、「創」だけでも傷の意味を含んでいるというのだ。いっぽうで、創の字には「つくる」という意味もある。こちらにも諸説あるようだが、刀で傷をつけて素材に切り込みを入れることが、つくることの始まりだという。

手相の「相」は、外に現れるかたちという意味がある。傷についても、外に出てきた形を解釈すると言う意味では近しい。「創」と同じ音読みで「ソウ」なのも、なんとなく偶然ではないような感じがしてくる。

一定のルールにしたがって、手についた傷に解釈をつけていく。手相をみて教えてもらったことは、当然ひとつの解釈にすぎないが、一方で、そういったロマンやストーリーを抱きながら生きていくゆとりを持てているのはなんだかすてきだ。

読んでくださり、ありがとうございます。だいぶ久しぶりのこじつけ記事でしたが、こういうことに考えをめぐらせる時間も余剰があってこそな感じがあります。何を生み出すわけでもなくたのしい。

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