◆続・小説が書けない

きのうの続きで、もうひとつの理由とその打開策が浮き上がってきたのでそのことを書きます。

思い返せば、先月の真ん中くらいに仕事の悩みを抱えはじめ、帰宅してからもそのことで頭がいっぱいになっていた。心身ともにリラックスし、空想であそべるはずの風呂でもそれがかなわず、ずうっと堂々巡りをしていた。

おととい「原稿を進めないと創作世界が停滞してしまう……」と危機感をもち、彼らに思いを馳せようとしたとき、はたと気づく。

──ここ最近、空想する時間があきらかに減ってはいまいか?

特性上、ひとつのことに集中してしまうと他に注意を転換するのが不得手である。今回もそれが起きているから、創作世界が停滞していたのだ。わたし風の言い方をすると、仕事人のわたしが余暇時間に侵蝕して、表現者のわたしを殺している。、というふうだ。「アホだから書けない」と思っていたところに別の事情が乗り合わせ、今、原稿がまったく進まない理由を解明することができた。

原因がわかれば次は解決策さがしである。しょうじき、今抱えている悩みはわたしが努力するとか、上司に相談して対処法を考えるとか、そういったことをしてもしかたのない、いわゆる「天災」のようなできごとだ。タイムカードを押したあとに考えたところで何の足しにもならないどころか、むしろ精神状態を悪化させ、ストレスになるだけである。その証拠にさいきんは無駄食いも無駄寝も増え、不衛生な循環がつづいてしまっている。

そんななか、意識的に空想の世界にいくにはどうしたらよいのか。書くモチベーションがないわけではない。むしろ書きたくてたまらないのだ。仕事人のわたしが帰宅したあとものさばっているせいで、世界がとどこおっているのだ。

うまくいくかどうかはわからないが、退勤の打刻をしたら即刻仕事人のわたしを殺し、空想人のわたしに切り替わってトリップしながら自転車を走らせてみよう。脳内に住まうわたしをむりやりスイッチするのだ。うまくいけば、さっそく空想世界の「彼」に尋ねることができるだろう。

「あなたはなぜ、この砂漠に来てしまったのですか……?」

「牢獄」と呼ばれる砂漠に閉じ込められた博士が、ゆっくりと過去のできごとを語りだす。わたしはインクの減った万年筆で必死に記録していく……。そうなれば成功だ。

今日も読んでくださり、ありがとうございます。どうせ翌日にタイムカードを押せば仕事人のわたしは生き返りますから、退勤したら意識的に仕事人をじゃんじゃん殺していこうと思います。タイムカードのない時間は本来、表現者のわたしが生きる時間なのですから。じぶんにじぶんの時間をうばわれるというのは、少しふしぎな感覚があります。

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