◆襟つきの夏

わたしは襟付きのシャツがすきだ。ネクタイをきゅっとしめてスキニーパンツを履き、原色のくつしたにかっちりとした靴でしめる。四季を問わずこの格好をしていたいと思う。唯一くつしたはお気に入りのものをそろえていないのでsousouという和柄の服飾ブランドのものを使っているが(もちろんsousouはsousouのよさがあるけれど)、秋冬はまいにち上の恰好をしている。思えばこの恰好をしたすぎて、そうでない服をほとんど捨てたのだった。クローゼットを見ると同じかたちのボタンダウンシャツが色違いで静かに並んでおり、なかなかいい空間である。
服をたくさん持ちたくないゆえに「一年中長袖で暮らせたらいいのになぁ」と思ったことがある。試しに今年やってみようとしたのだが、そもそもわたしは非常な暑がりで、夏場は袖があるというだけでつらい思いをしているうえ、多汗なので襟付きのシャツを着れば襟の汗染みも気になりそうで、一歩踏み出せずにいた。おまけに今年の夏は「暑い」以外の感想をもてない季節だった。夏をどんなふうに過ごしましたか?と聞かれても、猛烈で異常な熱気だけが思い起こされ、手帳の記録を見ないとどこに行って何をしたのかまったくわからない。そんな季節に長袖で過ごしてみようなどという無謀な試みは、あの暑さに触れてしまえば頭がどうかしていたと思わざるをえない。即刻中止であった。
他方、長袖でなくとも襟付きの服で過ごしてみてもいいかなと思えるようなことはあった。夏場はほとんどTシャツで過ごしているのだが、結局Tシャツの首周りにも汗染みはできる。手入れの手間は同じどころか、襟付きのほうが愛着がわくので、手入れを忘れたまま洗濯機に放り込むことも減りそうだし、何より着たい服を着られるよろこびがそこにはねむっている。
夏に適した襟付きのシャツがあれば、ぜひ来年はおつきあいをしてみようと思う。ちゃんと間に合うように見つけたいところだ。
今日も読んでくださり、ありがとうございます。シャツとくつしたをそろえてあげればだいぶ「スキ」な服装に近づきそうです。それにしても、オフシーズンになってからその季節の反省をしますので、実際その季節になったときに「暑っ!やっぱやめるわ!」やその逆がよく起こります。季節は毎年めぐるというのに、なぜこうも学習しないのか……。

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