数年前に話題になった本だったかな、2月が誕生月なので、わーっと気になった本を8冊くらい買って、そのうちの1冊。映画にもなっていた、すごい反響だったことがうかがえる。フェミニスト小説と称されるところもあるようで、確かにテーマとしてはそうなのだが、それだけではないのかなぁ、といった読後感であった。
こちらは小説だが、ノンフィクションのような、客観的な語り口で終始書かれる。その直前に『調べる技術・書く技術』を読んでいたので、なんというめぐりあわせか。著者はもともとPD手帳という、調査報道番組の脚本家もつとめていたということで、事象をほりさげて扱うことには長けていたのかなと思う。ほんとうにこの「キム・ジヨン」という女性が実在し、このように生きてきたかと思わされるリアリティであった。随所に注釈が入り、韓国の男女のアンバランスさや価値観がわかりやすく入ってくる。また、キム・ジヨンが本音を抱え込みながら生きていくので、その独白の重みもずんとくる。
ただおもしろかったと終えることもできるが、韓国の女性たちの置かれた立場をみて、日本にも似たようなところがあるのだろうなぁ、と思わされるシーンもあり、今後の社会において、女性がどういった役割を期待される中で、どう自己実現していけばいいのかを、きちんと考えさせるような作品だったようにも思う。時代や世情の縛りでやむないぶぶんはありつつも、そこを「やむない」で片付けない強さが根底にあったように感じられた。だからといってどうしていけば、というところは日本と韓国とで異なるかもしれないが、いずれにしても置かれた現状に疑問をもって考えるということを改めてつきつけられたように思う。
読んでくださり、ありがとうございます。今年は「あ、いいなー」という読後感のある本に出会えてうれしい。

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