◆「ゲームセンター」を、もっとおもしろく【後編】

 きのうのつづき。WGCさんのこの記事と似通うところもある。こちらは経営側の視点がとても参考になる。

 考えたことのもうひとつはミュージアム化だ。他にない珍しいものが置いてあるという時点ですでにミュージアム化はかなっているのだが、これをもうちょっと広げてみる。媒体はアナログでもデジタルでもいいと思う。両方やれればたぶん、すごくおもしろい。げんにWGCさんはnoteによるパブリックな情報配信と、新聞によるカジュアルな情報配信の両方を行っている。前者は店長ひとりが、後者は常連の寄せた記事も集まって異なる風合いを醸し出している。もう発行されたので書いてしまうが、記事の執筆を依頼していただき、今まで書いてきてよかったなぁとしみじみしてしまった。こういうこともあるのでやっぱりこう、いろいろなひとと関わってみるのはすごく大事だ。

 ミュージアム化の話に戻ろう。よく、昔のゲームを紹介している動画がyoutubeにある。これをゲームセンターでもやってみる、なんてどうだろう。単に紹介するだけではなくイベントを交えた配信や動画作成と絡め、おもしろくやっていけたらデジタルでもミュージアム化できる。同じ体験を共有できるのがアナログの、そして世界各地どこにいても容易に伝達できるのがデジタルの強みだ。遠くの方に知っていただくきっかけにもなるし、制作した作品群たちが歴史の蓄積になる。過去と未来の両方を見据えることができるのがミュージアムの魅力のひとつだ、と思う。これまでいろいろな展示を見てきたが「この画家のこの作品がすごかった」というのはその場限りの感動で後に残るものは少ない。見終わって「では今後、そういった作品に出会ったわたしたちはどのように生きていくか?」など、少々重たいし疲れるが、そういうところまで見据えて構成してある展示のほうがだいたいおもしろいし、覚えている。あくまでわたしの場合なので、これがすべてではないことは承知している。

 昨今の動画はその場限りで楽しむ側面が強くなりがちな印象があるのだけれど、持続して記憶に残るような使い方に光を見いだしてもいい気がする。自分で動画をつくるとき、意識してやっていきたいなとぼんやり思っている。実際つくってみると難しいのだけれど……。

 谷崎潤一郎に『文章読本』という文章の指南書がある。これの序盤に、文章は「なるたけその感銘が長く記憶されるように書きます」とある。なんとなく、動画にもそういったコツのようなものがある気がする。再読しつつ、動画にも考えが通用しそうなところにはチェックを入れている次第だ。

 べつに誰に頼まれたわけでも、お金になるわけでもないけれど、ただただゲームセンターがすきで、考えていたらわくわくしてきたので思いのままに書いてみた。これらをほんとうに「やろうかな!」と決めた日にはまた、やりたいことが増えてしまう。どうするのだろう、本当に。

 今日も読んでくださり、ありがとうございます。書きながら、長野・上田の無言館を運営する窪島誠一郎さんの書いた本のことを思い出しました。私設美術館にも似通った部分があるのかもしれません。そういうわけで、ゲームセンターに限らず応用がきく考え方なのかなとぼんやり思います。人が集まるところならどこでも。

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