◆白い蟲のゆめ

シンク下の引き出しをあけると、透き通った白色の虫がそこかしこに湧いていた。思わずぎょっとしたが、入れておいたはずの食料の備蓄や洗剤のストックが消えていることに気づき、おそらくこれはなにかがあったな、と考え──ここで夢だと気づけないのがわたしの夢レベル(※夢のなかで夢だと気づく能力。これまで一度たりとも気づいたことはないので、初期値だ。)の低さなのだが──、虫を観察してみることにした。

虫の大きさは小指の第一関節程度で、イモムシのような形をしていた。色が透き通っているからか、ぬけがらのように見える。からだに対して大きめの瞳はくりくりと愛らしく、ひかえめな口とのバランスがよかった。何本あるのか知れぬ足も小さい。身体を曲げ伸ばししたり、蠢いたりしている。どうやら移動はしないようで、あたかもそこが自分の場所であるかのように留まっている。ならば彼らはどこからやって来たのだろうか?

ひとしきり観察を終え、この未知なる虫を触ってみることにした。手頃なのをひとつつまんでみると、せみのぬけがらのような感触がした。そのまま持ち上げようとすると、小さな虫は床をがっしりと掴んで離そうとしない。最終的に、引き出しの中の虫を全部取り払おうと思っていたから、唖然とした。これでは虫たちを除けられないではないか。

いったん諦めて虫を離すと、違和感に気づいた。右手を開いてみるとてのひらが白い虫だらけになっていた。心臓が大きく高鳴った気がした。ぎゅっとわたしの皮膚をつかみ、好き好きに蠢いている。どこから沸いたのか?噛まれはしないだろうか?なによりあれだけの力を持つ虫を、どうやって除けたらいいのか?反対の手で取ろうとしても、てのひらを掴んで離さない。ならばいっそ殺してしまえば……と力を込めてみるが、ぬけがらのくせに彼らの身体は丈夫で固い。

冷や汗が全身から伝うのを感じたところで、目が覚めた。この夢が何を意味するのかは謎だが、そのあと自転車とぶつかって全身を打ちつけたので、ろくなものではなさそうである。

今日も読んでくださり、ありがとうございます。なかなか、痛みます。

コメント

  1. […] さらに、無意識は連休をもってしても、仕事から逃れられなかった。夢を見てしまう。しかも、ふだん書くゆめにっき達とちがい、職場の夢だけは登場人物と場所はもちろん同じで、シチュエーションも「なんだかありえそう」なものばかりである。夢としておもしろおかしく捉えることもできず、目が覚めるとどっと疲弊してしまう。たとえ明るい内容だとしても、連休中はオフにさせていただきたいものである。 […]

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