◆旅はたなおろし

やっと、旅の話。
旅は今まで何度も書いている「いつか帰るところ」探しのほかに「たなおろし機能」も併せ持っている。後者は「たなおろししよう!」と思ってやったというよりは、結果としてそうなった感じだ。
まずは荷造り。ないとまずいもの、あったほうがいいものを選り分けていつもの黄色いリュックに詰める。わたしは荷物が少ないほうなので、旅行かばんという概念がない。
つぎに宿。必要最低限のものだけが置いてあるまっさらな部屋をみて、いいなぁと思う。自室を宿の部屋にまるまる変えるのはちょっと難しいけれど、もう少しなんとかなる部分もあるような気がしてくる。「そろそろ洗面所の鏡をそうじしなければ。」ぴかぴかに磨かれた鏡を見て思いだす。
さいごは旅の行程そのもの。道行く景色や到着した先の壮大な自然やうつくしい建造物に魅せられて、こころが満たされる感覚。そうして、日々なんとなく接しているものやじぶんの欲について考える。ほんとうにそれはすべて、わたしにとって必要で、切実なものたちなのだろうか……。また、今あるしがらみや悩みについても考えてみる。それはほんとうに悩むべきことなんだろうか、とか、変えていくのであれば具体的にどうしていきたいのか?とか、たいがい温泉に入る時間でそんなことを思っている。あまり混雑していないところに行くので、湯の流れる音と鳥の鳴き声がBGMだ。湯は無限に流れるので、時間のことを考えたりもする。湯の音とちがって有限なわたしの時間が、果たしてほんとうに「いいかんじ」に使えているのかしら。毎回こういうことを考えているから、実際のところはうまく使えていない感じがしているのだろう。
旅は、じぶんについて考えられる絶好の機会だ。生活から離れていながら、最終的には生活にたちもどっていく。日々の課題が多いわたしには、定期的な「たなおろし」が必要だ。だから年に数回、旅をする。
今日も読んでくださり、ありがとうございます。どうも生活の中に欲が多すぎるような気がしています。せっかく旅で洗ってくるのに、どういうことなんでしょ。

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