◆褐色に恋い焦がれ

夏が苦手だ。東京の夏は湿気を含んで爽やかさがない。その上にだらだらと続く。もしこれが擬人化されたら、まちがいなく陰キャだと思う。
それと肩を並べてつらいのが日焼けだ。わたしの肌は黒く焼けない。申し訳程度に赤く染まってかゆくなり、気づいたときには白く戻っている。かゆみがつらいのはもちろんだが、そもそも日焼けをしないというのは、なんだか夏に選ばれなかった証のように感じてしまう。美白史上主義の現代日本において時代錯誤な発想であることは疑いようがない。


海・山・川と、夏ならではのレジャーを楽しんで帰って来た人々は、余すところなくからだを焼いている。彼らは「夏を堪能しました!」と外見から訴え、ニコニコしながら思い出を語ってくれるので内面からも充実感がにじみ出ていて説得力がある。個人的な好みにすぎないが、褐色に染まったからだは少しだけいろっぽく見えるし、かっこいい。もちろん男女を問わず、だ。彼らはみな、太陽のお墨付きをもらっている感じがする。太陽のお墨付きはその名の通り強力な効果があって、みな輝いて自信を持っているようにも見える。
これが「選ばれなかった者」の歪んだ視線によることは重々承知である。しかしそれほどまでに、褐色に対する羨望が自分の中にはある。「御影さんは白くていいわね。」と言われること数多、「そんなことはないの。」と言いたくて飲み込んだ記憶が同じ数だけ存在している。一度でいいからあなたと変わってみたい、太陽に焼かれるってどういうことなのかしら。どうあがいてもなりえない立場って、仕方のないことだけれど妬いてしまうわ?

選ばれざる陰の者らしく、今日という酷暑の日は引きこもって過ごすつもりだ。昨日猛烈な日差しで焼けた赤い腕をかきむしりながら、エアコンを強烈に効かせてカーテンを閉める。太陽が沈み始めたころに、少しくらい外に出てやってもいいけれど。
今日も読んでくださり、ありがとうございます。お出かけされる方は体調に気をつけてお過ごしください。秋はまだか。

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