実家の庭にいる。そこにはふとんなどを干すような、長い長い物干し場がある。竿ではなく、太く丈夫なロープがぴんと張ってある。

本来洗濯物を干すはずのそこには、見覚えのある顔をした女たちがぼろのような粗末な格好で首を吊っていた。たしか5人ほどだったか。いずれも誰かに似ているが、思い出すことができない。女たちは黙ったままうつむいている。まだ、息はあるようだ。細いピアノ線のような糸で丁重にくくりつけられ、足は地面にぎりぎり届かないくらいの高さを保っている。ほんとうなら苦しくてたまらないはずなのに、誰ひとり声を上げない。

彼女たちはなんらかの組合の同志のようで、組合員を集めるための活動をしていたようだ。ひとり新しい人間を紹介すると3000円の謝礼金が振り込まれるというので、熱心に活動をしていたようだ。しかし、そのうちのひとりがどういうわけか、勧誘していた相手に直接1000円を要求してしまい、その相手が悪かったようだ。なにかの権力や威信をもった、おそろしいひとだったのかもしれない。そんな説明だった。彼女たちは5人でひとつのグループを形成していたようなので連帯責任を負う運びとなり、このようになったそうだ。

こんなふうなことを、後ろから現れた母が淡々と説明した。説明する母の顔も、ほんとうの母とはまったく異なる顔をしていた。

彼女たちはこのまま野ざらしで放置されるらしい。2,3日すればロープが締まり、緩慢に死んでいくであろうと。食事や排泄の世話もされないという。しかし吊るされる女たちを見ていると、もはや生理的な欲求は排除されているように見えた。浅黒い肌にぼろの着物、光を失った眼、乾いた唇、能動的に動きそうにないからだが、風に吹かれてそよそよと、洗濯物のように揺れていた。

おかしな組合もあるものだと感心し、たったの1000円で命を投げ出す羽目になった彼女たちを滑稽と同時に不憫に思う。実家の庭でこんなことはやめてほしいとか、なぜ実家の庭でこういうことをしているのか、もしかして母が組合に関わっているのかとかいう疑問は、いつも起きてから沸く。

今日も読んでくださり、ありがとうございます。もしもへんな夢を見たまま死んだら、わたしは不可思議な世界に一生(死んでいるので一生という言い方もへんかもしれませんが)閉じ込められたまま成仏するのでしょうか。ちょっと、気になります。