『SIRAT』(映画)

見たあとすぐは胃もたれのような感覚があり、よろよろと帰った。文字通り消化しきれなかったのかもしれない。と思ったらしばらく胃が重たい食物を受けつけず、ふつうに夏に負けていただけだった。こんばんは。

スペインとフランスで共同でつくった映画だという。本編はスペイン語のやりとりが多いのかな、現地の商人とのやりとりはアラビア語っぽいなというところで、お金たりてるよとか言わなくていいよというところで言語の壁!を感じた。

明言はさけるが、言動が尾を引くところと唐突に展開するところがからみ合い、序盤のレイヴパーティの狂乱と聖地巡礼の整然さとのコントラストも色濃く、何かを予感させるはじまりだった。差異に目がいってしまいそうになるが、みていくと、ウーファーとカーバ神殿の表象や、反復する音楽とイスラームの礼拝、線路とが、一つの細い線でつながっていくようにも思われる。一本の道にとまる車たち、さまざまな人種境遇の人が乗る汽車、たいそうなことが起きていながらも、静かに幕をおろす。前に進んでいく救いともとれるし、進まざるをえない生の絶望ともとれる。

イスラームの知識は、ふつうの日本人より持っているつもりだが、それでも舞台となったモロッコのことはよく知らないし、イスラームのことももっと知りたいと思い、後日海外のレビューサイトなのかな、やたらとフレンドリーな日本語に訳出されていたが読むなどしてみた。ラストにでてくる行動の解釈が宗教的な意味合いをもって研ぎ澄まされていく気がした。また、ここまで科学技術が発達したとて、こういった宗教的なモティーフを基に物語が進んでいくことで、人間というものの根本たるありように加え、ある種の救いをもたらすということに、驚くとともに感銘を受けた。生まれてこのかた、なにかの宗派に身を寄せるということがなく、ぴんとこない部分も多いとは思うのだが、今、この作品が高く評価され、世界中の人々に鑑賞されているという事実こそが、今という時代が喪いつつあるというか、忘れつつある価値観や視点なのかもしれないなと思わされた。またそれが現代の世界を牛耳る一派である西洋世界からみて、いささか敵側と措定さやすく、なんだかよくわからないなと認識されやすいイスラーム世界におけるできごとだというのも、大きな意味があるような気がしてならなかった。

読んでくださり、ありがとうございます。非常にいい作品で、もっとイスラームを知りたくなりました。

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