◆『九条の大罪』第72審「至高の検事」8

今週のお話

今回はさくさくさくさく話がすすむ。九条の事務所にいる京極は、無理といわず、財産を息子に渡す方法を考えてほしいという。というのも、企業舎弟が警察からマークされていて、組との繋がりを見出して脱税の罪で逮捕するつもりでいるのだ。もしあと一年で死ぬとしたら、と京極はifの話をもちだす。自分であれば、残された時間を愛しているものに捧げ、生きた証を猛に残したい、馬鹿息子でも愛していると息子への愛情をかたる。九条はそれを無表情のまま聞いている。勢いのある若頭というが、身柄を確保される懸念が強くなっているのだろう。なんとなくだけど、壬生が裏で何かしているのも嗅ぎつけているのではないかな。

場面は犬飼に猛の拉致を依頼した男の家。インターホンをしつこく鳴らされ、雑に扉を開けると犬飼のパンチだ。京極の息子を拉致させるという大掛かりなことを依頼したことから、身柄をかわす必要があるため、全財産を出せと迫る。そもそも、言い値で猛の拉致を依頼していたこの男に対し、「それならお前から全財産奪った方が早い」と答えるくらいなので、まったく襲うことに抵抗はなさそうだ。血痕のついた床下から札束を奪い、次は預金を引き出させにいくようだ。犬飼陣営が男を車で連れ去るのを、何者かが撮影をしている。次のコマに描かれた男たちは、コミックスを見返すと菅原陣営にいた男たちと思われる。犬飼に尾行をつけていたのか、それは壬生とは無関係なのか、ちょっと気がかりなところだ。

さて、壬生も久我を引き連れて、犬飼を探しにいく。車中にて、グループの中で気になっている店舗があるという。犬飼の話ではなく、月で1億近くいく店だが、キャストの質も低く客も来ないのになぜ店の規模に合っていない儲けが出ているのかが気になっているという。壬生は率直に、伏見組の資金洗浄をしている店で、摘発されても口を割らない人間を店長にしているという。組にみかじめ料を払い、さらに資金洗浄しているのかと、久我はちょっとあっけにとられたような返しだ。世界中で2兆ドルほどが資金洗浄されているといい、その内訳はほとんど大企業や富裕層の税金逃れだと壬生はいう。その取りっぱぐれを国民からぶんどるので、一般人はどんどん貧しくなるのだと。「家族の距離」編でも、鉄塔のシーンか何かで、壬生はそういう話をしていたな。さてさて、そんな話をしていると、青信号で停車している車があり、久我はクラクションを鳴らす。常識的な行動だが、それに対して車から男が出てきて、スパナを持って脅しにくる。壬生が「お前にだよ。」と一瞥すると、力の差を悟ったのか足速に逃げるのであった。「煽り運転をやる奴は心が貧しいクソだな」と、一般人の話を締めくくるように壬生はつぶやく。

そして、犬飼のスマホのSIMを抜いた場所である、件のボーリング場に到着する。壬生は京極の息子の死を念頭におき「最悪の状況に備えて」動くと久我に告げるのであった。

感想

事態はどんどんやばい。犬飼らは猛を殺害し、身柄をかわさんとする。壬生はそれを探す。そして今回の盗撮は菅原も噛んでいる……かもしれない。結局壬生と手を組んだのかどうなのか、壬生の指示なのか、そうでもなさそうなのか、ちょっと今のところだと、よくわからない。でもつるんでいるとしたら、カメラで撮らずに声をかけるような気がする。

京極は自身のもつ財産の危機をさとり、九条にあらためて財産を渡す依頼をしてみせる。そこには純粋な家族への愛情がみられ、一般人だから、筋者だからといった区分けはなさそうである。それに対してフラットな態度で聞いている九条だが、前段の「無理です」から答えが変わることはあるのだろうか。久我の話していた世話をしている店舗があるようなので、そこを通して法人的なスケールで何かをやってのけるのか、ちょっとそのあたりも、動きが出そうな感じがするが、法律の知識がないので、見守るほかない。

そして壬生だ。常に常に、富裕層と国民(一般人)の話はでてくる。ここまで登ってくる途上で、壬生自身も思うところがあるのだろうな。この大きな構図をつかんでおくことと、ひとつひとつの行動がどう結びにいたるのか、来週も楽しみに待とう。

コメント

WP Twitter Auto Publish Powered By : XYZScripts.com