先日、アラビア書道の体験をしてきた。大阪の民族学博物館でみた、あれである(くわしくはこちら)。もうその日は楽しみでならず、しごとも上の空であった。
一応展示と、日本アラビア書道協会のウェブサイトで基本事項は調べて臨んだのだが、先生が基本事項から説明をくださり、筆使いについてもレクチャーがある。その後は具体的に数字や文字の書き方を教えていただき、実践。
筆の使い方がとにかく難しく、というか、そもそもアラビア語は右から左に筆記するのでその感覚に親しみがない。そうでなくても、力の加減がうまくできないし「ゆっくり」書くことが肝要なのだが、ついつい毛筆くらいのスピードで進み、かすれてしまう。かすれてしまうのはアラビア書道的にはよくないらしい。毛筆の習字とも筆運びが異なるので、おなじ書道といってもまったく別物であった。
まったく新しい世界にとびこむのはだいぶ久しぶり、かつ、何かを作るというのも新鮮で、あっという間にレッスンは終わりを迎えた。とかく書くことに集中していたからか、一瞬であった。90分近く、文字をお手本通りに書く練習など、今までやったことがない。しかも、うまくできた実感は全くといっていいほどない。だが、終わってすぐに「わーもっと練習したい」と、楽しさからくる高揚感でいっぱいになり、次回のレッスンの日を尋ねて教室を後にした。もう気持ちの中ではすっかり次回も行く気であった。
ひたすら一つのことに集中して物事に取り組むなど、思い返せば久しぶりだ。読書や記事を書いているときはそのことに集中しているが、せいぜい目と手先かなというところで、途中でしごとが気になってスマホをみてしまうことや、動画を流しながら打ち込んでいるときもあり、「全身全霊」とはいいがたいときもある。それが今回は、静謐な空間の中でひたすら手を動かし、他のことはいわばもう忘れているようなものであった。このタイプの集中は、以前通っていたアトリエで作品を作っていた頃以来なので、こわいもので、5,6年ぶりであった。他の世界が捨象されるくらい、目の前のことに打ち込める状態は何故か非常に満たされた気持ちになり、時間の質的にも豊かに過ごせていない現在の自分にとっては、黄金のように尊い時間であった。渇望してやまない思いが、次回の参加のモチベーションの大きなところなのかな、と思う。
読んでくださり、ありがとうございます。これはむりくり早く帰ってもやりたいかんじだったので続けられる生活の状態であることはひとつの基準になるかもしれません。ぶじ、しっかり会得することができたら「全身全霊のきわみ」で結びたいです。
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