◆アトリエ記 片隅の対話

眠い。前日に友人と遊び、帰ってきたら0時前。ひさしぶりに日付の線をこえた気がした。そのあともぼーっとしてしまい、寝たのは1時頃だったと思う。

久しぶりに朝のバスに乗れた。中でまどろみ、目が覚めれば見慣れた光景。扉をあける。いつもより人が多かった。

アトリエでは作品制作のさなかに、おしゃべりをするときがある。近況から始まり、ときには政治・社会から今期のアニメに至るまで、いろいろな話が飛び交う。 ふだんだと話題にならないようなことを、アトリエではすっと話せる。このきらくさにほっとする。

それに加え、わたしは話しているひとたちのやりとりを聞くのもすきだった。今日は滋賀県で起こった自動車事故からはじまり、日本の道路のかかえる問題、そして欧米の自動車社会のありかたを話していた。そのあと話に混ざり、日本という狭く、山だらけの国土のなかで道を通すことのむずかしさや、長崎で議論されている新幹線開通問題について話した。自動車事故でも新幹線開通でも、つねに利権と市民感情はせめぎあう。

そういったせめぎあいから距離を置いているのが、このアトリエなのだろうか。ときに利権目的でこのアトリエに来る方もいるが、そういう方は足繁く通ってアトリエの主旨を理解するというよりは、用件だけを押し付けて帰っていくような印象を受ける。そしてその後は二度と訪れない。

アトリエに物知りのメンバーがいる。物腰やわらかく語られる彼の話を聞くのがすきだ。話を聞きながら、作品をつくった。前回の作品を版画にすることに決め、リハビリがてら消しゴムはんこをつくった。わたしはときどき手紙を書くので、じぶんの住所と名前を彫った。でかでかと住所があるので載せることはできないが、ひさしぶりの割にはそこそこのものができたように思う。あとは微調整をして実用に備えるだけだ。手紙を書きたい人が数人いるので、今から楽しみである。

作品のほうも進める。『慾望』と題しているが、タイトルを話すのを忘れてしまった。見てくれた方のひとりが「なまめかしい感じがします」と言う。一見海のイメージが目に入りやすい作品なので、気づいてくださってうれしかった。下部はかたちのイメージが「見えない」日だったので、空白だ。際限ない『慾望』をあらわしたいので、埋めるつもりだ。

版画にするときは色を変える予定だが、これはこれで水性マッキーを使いながら完成させたいと思う。にしても、やっぱり油性マッキーの方が色の主張が濃くてこのみだ。

眠いといいつつ終バス一本前まで居座っていた。帰ってしまえばまた一週間みなさんに会えない。アトリエとの接点を、できるかぎり持ち続けたい。これからどうなるかわからなくなってきた今、より一層そのきもちは高まっている。

読んでくださり、ありがとうございます。あたらしい方も仲間入りしたようで、ますますいろいろな作品を見ていくことができそうです。

コメント

  1. […] 合評前に到着し、作業をすすめる。先週つくったはんこの印面をととのえ、終わってから制作をすすめる。暑さのせいか人数も少なく、ゆったりと過ごせた。作品にかんしては、いつも […]

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