◆感想『九条の大罪』第68審「至高の検事」4

今週のおはなし

京極の息子の失踪を聞き、虫の知らせとでもいうのか、犬飼に電話をかけなおす壬生だが、早速、犬飼は壬生助言をまもり、スマホの電源を切っていた。すかさず久我に連絡を入れ、犬飼を探し、拉致した人間の身元をもとめる。

犬飼サイドにうつり、SIMカードをスマホと分ける最中で、壬生の下にいったんつくことになったようである。仲間の不良が、拉致した人間の処遇を問うと、犬飼は病院前に捨て、身柄を隠すという。どうやら今回は人に頼まれて、輩の拉致をしたようだ。依頼主は同じような不良の男で、自分たちが彼に逆らえないのを知っていて、自分の彼女を犯され、おまけにその動画を海外のサイトで売り捌いているという。親が有名な不良と男は言い、地元が同じ自分達では手を出せないといい、金をちらつかせる。殺してくれるなら犬飼の言い値を払うという男に対し、犬飼は「それならテメェをぶっ殺して全財産を奪った方が手っ取り早いじゃねぇーか?」と、二度と同じ轍を踏まないー嵐山の娘のときのように、金で人生を奪われまいという意志がみてとれる。大きめの車で待ち伏せし、スタンガンとビニールで、2人がかりで拉致して、今にいたるようだ。

病院に捨てに行くつもりだった犬飼だが、首筋から垂れるイヤホンが抜けていることに気づき、ビニールを破いて輩の顔を確認する。ちょうど、壬生も京極の息子の画像をSNSか何かで探していたようで、「親子揃ってムカつく顔」だと。そして、ビニールを破いた先にあるのも、同じ顔でだった。犬飼は輩の顔をみて「予定変更だ。」と、山に埋めることに決めたのだった。

壬生と九条は食事を終えて、それぞれの案件に戻るらしい。九条は森田、壬生は京極の息子である。九条の連絡先は輩連中に出回っており、連絡が頻回にあるという。それを聞いた壬生は、九条に感謝しているという。他の弁護士は自分の立場ゆえに守りに入るが、九条は依頼者のために戦ってくれる稀な弁護士だと。

森田のところへ向かう九条。様子を伺うものの、やや気まずそうに、目もあわせずに「弁護士を変えてもいいですか?」と言う。父に違う先生を紹介してもらうことになったようである。そこに、警察からの呼び出しを終えた烏丸が建物を出、ちょうどふたりは再会するのであった……。

感想

これが事件化して検事の出番になるのだろうか。

犬飼は壬生の下につくことにしたようだが、今回の依頼はまったく別の男からのものであった。いちおうこうして指示を仰ぐのだから、壬生にたいしては裏社会の知恵の面などで、あるていどのリスペクトはあるのだろうか。息子といえども、京極となれば、共通の敵に値するわけで、もっとも慎重にあつかうべき案件であるが、不幸にもこの状態である。依頼してきた男に対する「お前を殺して全財産を奪った方が早い」ということばには、壬生が嵐山の娘を殺す案件をもってきた10年前を思い起こさせるものだったかもしれない。それでも引き受けているというところは、依頼した男はどうなったんだろう。もし本当に殺してしまっていたら、犬飼はおおものだな。

九条サイドは、壬生からの謝意を受けて、あらためて九条の立ち位置がきわだつ。依頼者のために動いてもらう、というのは、裏の人間からしたらなかなか難儀なことのようだ。九条の他に、裏の案件をうけもつ弁護士の登場が少ないので、比較の相手は乏しいが、最初からそういうスタンスで九条はやっていっているので、今更どう、ということもないような顔で話を聞いている。かつ、壬生に関しては自身の住まいで食事をするといった、他の依頼者とは異なる関係性をもっている。

上の、九条の立ち位置は、おそらく今後、真っ向から対立する鞍馬の影もあるだろうが、ここで最後に出会った烏丸との再会にも関わっているようにみられる。次回そこで言葉をかわすのかどうか、九条が正義なのか悪なのかといった、なにげない流木の命題にたいする答え、などなど、まだまだエピソードの序盤にすぎないことを思わせる。

コメント

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