◆聖域に籠る

この連休は地元から出なかった。そもそも「何もしないで過ごそう」と企てていたのではなく、ここ数日調子がすぐれず、連休の過ごし方を考える余裕がなかったのだ。正直に申し上げれば、この週末が三連休だと気付いたのも金曜日だった。
無計画な連休で何をしていたかというと、会いたかった人に会ってみたり、行きたかったお店に行ってみたり、小説の原稿を進めたりいつもどおり家のことをしていた。最初のふたつはあたかも計画していたようにみえるが、ほとんど当日になって約束を取り付けた。
終わってみて気付いたのは、自分が思っているよりこの町がすきだということだった。「東京はきらいだが地元はすき」というのはだいぶ矛盾している気がするけれど、要するに引きこもっていれば見知ったものに囲まれるので不要な緊張がなく、きらくである。日常から離れて旅をするのも乙だが、日常と地続きの連休というのも悪くない。実際この連休を地元で過ごすのと、旅に出て刺激を受けるのは別ベクトルながらも同程度の充実感があった。それもこれも自分に適した住環境と、すぐ会える距離にいる友人のおかげである。
とはいえ、ぐだぐだと何もしない時間を過ごしたり、家であればうっかり午睡してしまったりもする。だが裏を返せば、相当に安心して過ごせる聖域と化している、ということだ。「聖域」というくらいだから、自発的にメンテナンスをしたくもなる。自慢ではないけれど、おそらくわたしの家はまぁまぁきれいな状態を保てている。わりとびっくりされるのだが、キッチンの排水口下のトラップや、洗面所と浴室の排水口は毎日外して洗っている。おかげでつるつるしている。
そういえば先月から、あえて予定を入れない週末を一回は作るようにしている。「なんか毎週出かけていると疲れるな」ということで導入した本制度だが、図らずしてその重要性を確認できたのも、今回がよい連休だと思えた一因である。
今日も読んでくださり、ありがとうございます。「ずっと家でぐだぐだしていたい」という人のきもちが少しわかってきたような気がします。

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