中国韓国日本の民話からインスピレーションをえてSFにしあげた短編集。韓国の民話って全然知らないけど、チェジュ島がやたらと例文にあがってくるのは民話がたくさんある=歴史的にも大切にされてきているってことなんだろうか。
いくつもある中で特におもしろかったのは「徐福が宇宙を去ったあとで」(ナム・セオ)だ。あとがきにもあったが、徐福伝説は中国だけでなく、韓国、日本にもわたって語り継がれており、ひとつの国でおさまらない伝承というのがひとつ特徴的なところだと感じる。徐福伝説をベースに宇宙空間をジャンプして貴重な鉱石をハントするムンナとその相棒との関係性や、お話のテンポや解釈をややゆだねるような形の結末がこのみだった。あとはふつうに始皇帝とかの時代まわりすきなんだよなというのも、押し上げている理由のひとつだろう。
「九十九の野獣が死んだら」(ホン・ジウン)も同じく記憶にのこった。野獣ハンターの「俺」がバディであるジジイと任務をこなしていくのだが……というはじまりで、結末は壮大でどこか心地よさと安心感がある。語り口も「俺」の粗雑な口調ですすんでいくのでアドベンチャー感が身近でよかった。こちらもチェジュ島の伝説から着想をえてつくられたそうだが、なんだかちょっと現地にいってみたくなった。
ここ2,3年はみんぱくの会誌を購読しており、民話の話もちょくちょく出てくるので少し興味がわくようになった。図書館で近隣の民話をさがしてみると、東京の23区でもちらほらあり、住んでいる町のものも見つかった。どれもそこまで長くはないので、読書の小休憩で足を運ぼうと思っている。
読んでくださり、ありがとうございます。今年はアジアの文化をたくさん吸い込みたいと思っておりまして、下半期はあちこちいってみるつもりです。

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