◆みかげ、ミニシアターと出会う

先日、アトリエの方に教えていただいた『福島は語る』という映画をみてきた。タイトルどおり、被災したひとびとの語りが詰まったドキュメンタリーだ。小さな子どもの母親や農家、教師、元記者など、さまざまな立場の方が思いを切々と語る姿に心を打たれ、帰ってきたのだった。

この映画は大手の映画館では上映していない。作品名でググり、作品のウェブサイトに載っている「上映情報」から、近い場所をさがす。どうやら吉祥寺で上映しているようだ。

わたしは年にいっぺん映画を見ればいいほうなので、そもそもこういう私設の映画館は初めてだった。たたずまいは映画館というより、飲食店のようだ。見るに、シアターはひとつだけのようだ。こういうところを単館の映画館と呼ぶのだろうか?いろいろな映画をタイムテーブルに沿って、流しているらしい。上映10分前に開場だという。なるほど映画のインターバルも短い。

お世辞にも大きいとは言えない部屋には、20脚強の椅子が並ぶ。とはいってもいわゆる映画館的なそれではなく、背もたれの長く、ふかふかとした、へたしたら家にもあるようなかんじのものだ。腰掛けると、からだがゆっくりと沈んだ。

上映がはじまった。スクリーンは小さいがその分シアターも小さいので、ちょうどいい。むしろ、これくらいの規模のほうが落ち着いて見られる。この映画館がメインストリートの裏側にあるというのも、隠れ家的な雰囲気を醸し出してすてきだ。メインストリートに大手の本屋、裏通りに選りすぐりを集めた古本屋。共存している世界。そんなイメージがわいた。

映画というと大衆娯楽のイメージが強く、爆音が急に鳴ることのおどろき、さらにわたしの場合は集中力を100分前後維持するということのむずかしさもあって敬遠していた。しかし、もろもろの環境さえ整っていれば少しはましになるのか、170分の上映時間のうち2,3回集中が途切れるくらいですんだ。語りの集積した映画なので、爆音もない。安心して見られる。

今後も関心のある題材のときは尻込みせず行ってみようと、心を入れ替える。ミニシアターとの出会いは、映画の苦手意識を軽減するいい機会となった。

今日も読んでくださり、ありがとうございます。吉祥寺はけっこうすきな店も多いので、行く機会のできることがもうひとつうれしいことです。

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