■移り住むこと(2)出あうもの

前回の続き。

先月、福岡市を中心に案内をしてもらってきた。幸い、首都圏からこちらに赴任した方々ともお会いすることができ、越してきた立場からみた、福岡の魅力も教えてもらうことができた。食事、物価、自然環境、空港が近くすぐ首都圏に戻りやすいことなど、いろいろ教えていただき、何より、話しぶりから、その土地を非常に気に入っている様子が伝わってきて、聞いていて楽しかった。なんだか趣味の話を聞いているような気分だった。

あとは実際に少し街を歩いてみて、あらたな個人店(もちろんカレー屋さんである)との出会いもあった。すてきなお店の数でいえば東京にかないっこないが、あらたな出会いはここにもある。それと、アジア人の観光客の方がたくさんおられた。東京だとヨーロッパやアメリカ系の方もそこそこおられるが、その比率が距離のせいか、少し異なるように感じられた。おそらく、アジア系のコミュニティは活発だろう。現地での仕事にもよるが、外国語にふれる機会や学ぶ機会は日常の中にとりやすいかもしれない。異文化と交流する難しさはあるかもしれないが、知るという意味では利点のひとつだし、そもそも太宰府あたりは唐の時代から大陸との貿易や交流がさかんな土地である。もともとなんとなくアジア圏の文化や歴史はすきなので、そういった興味関心は一致する。

そして、こちらは体感になるので実態がどうかはわからないが、若い世代の人々が東京よりも多いような気がした。平日・休日とうろついたのだが、逆に、街に高齢者が少ないのか、ちょっとわからないがそういった活気が漂っている肌感覚があった。

どこにいてもそうだが、東京を出て別れるものと、新天地で出会えるものがあり、そのよしあしというのは自分が決めることだ。それを決めたうえで、今いる環境を変える決意が、移住という点においては弱かったのかもしれない。大学受験時、就職時、転職時……節目にその機会は確実にあったのだ。

読んでくださり、ありがとうございます。東京から外に出ると日々の選択肢はかくじつに減るので、選択肢に迷う疲れは減りそうだなと。となると、「これこそ!」というのが見つかれば、その場所でめいっぱい突き進んでいけるというのも、ぶらついた時点で感じられました。

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