はじめにことわっておくと、これは連休前の話である。連休中に通勤のことを書くのもどうかと悩んだのだけれど、今回大切なのは通勤の有無ではないので、書いてしまう。

通勤路を走っていると、老夫婦とおぼしき二人組が向こうからのたりのたりと歩いてきた。スピードを出しながら帰っていたわたしは奥方とおぼしき女性を見、たちまち減速をはじめた。はたからみて不自然であったことだろう。しかし、そんなことはどうでもよいのだ。

年々迫りくるであろう(老いるにしたがい、筋肉は落ちる)脂肪の弛みをものともしない、引き締まった体型。細いおみ足にぴったりのスキニーパンツ、「老いてくると色も控えめになってくる」という一般論をひっくり返すかのような、主張の強い色のトップス、茶がかったサングラス、そしてしまいんはツーブロック!最強である。

「これになりたい」、即座に思った。しまいには自転車を道の端で停め、角を曲がるまで彼女を見送ってしまった。ツーブロックのうしろも完璧だ。背筋もしゃんと伸びている。東京の田舎町であんなに尖った格好の、しかも老年の女性を見るとは、思いもしなかった。

ここ数年は少しずつ「じぶんのなりたい姿」がわかり、目指しつつあるが、すこし先の未来にある「なりたい姿」を考えることは一切なかった。今やっている筋トレでいえば、もともとは減量をきっかけにしていたが、今は「強い体を目指すため」といういかにも少年ジャンプ的な動機だ。加齢に伴う筋力低下など、考えたこともなかった。また前回のツーブロックとて、20代のいま「あこがれている」姿で、もしかすると40年後は別にやりたくないものになっているか、おそらく今より制約のない状態になっているので、緑以上にとんでもない色にしてしまうかもしれない。

みてくれは人生設計のうえで絶対必要なものではないけれど、彼女が「未来のあこがれ」を考える大切な材料となったことは疑いようがない。みてくれに限らず、もう少し長い目で今やっていることを考えてみても、いいのかもしれないと思った。

今日も読んでくださり、ありがとうございます。彼女を見て美容院を予約して、ものすごい勢いでツーブロックに戻してまいりました。