万年筆を使いはじめて2年になる。先週、手帳についての懐疑を書いたときは触れなかったが、手帳を変えようと思うきっかけはもうひとつある。
わたしはLAMYというドイツ製の万年筆を使っているのだが、ヨーロッパ圏のことばを書くために開発されているであろうから、日本語はどうもひっかかりやすい。なぜ日本語向きの万年筆を買わなかったのかといえば、いきなり奮発する勇気がなかったからである。もし万年筆の書き味になじめなければ、せっかくいいものを買ってもただの置物となってしまう。そういうわけで、比較的安価で評判のよいLAMY社のものを選択したのだった。あとは歴史的に、ドイツがすきだから。
すぐに、横書きの「ほぼ日手帳」に縦書きを始めた。いささか引っかかりはあるものの、横に比べてはるかにすらすらと書けた。欧米文化圏の筆記体は横だが、日本は縦である。横書きですらすら書こうとしてもうまくいかないのは明白だったのかもしれない。この経験から、縦書きのほうがしっくりくるというか、万年筆の真価を発揮できている気がした。ただ「ほぼ日手帳」 は横書き前提のレイアウトなので、のびのびと書きづらい。もう少し自由度の高い、縦書きにおあつらえ向きな手帳はないだろうか?
調べてみると、新潮文庫のマイブックというものを発見した。新潮文庫とまったく同じフォーマットなので、目次から奥付けまである。本文はもちろん縦書きだ。月ごとに章立てがしてあって、デイリーページのみ。余計な付録はほぼない。これこそ、求めていたものではないか?しかも2019年3月現在、税込み400円と破格である。ジャンプコミックスの値段とそう変わらない。今年は順当にいけば増税があるので、やや高くなるはずだが。
うきうきする反面で、気がかりなこともある。文庫の紙質なので万年筆の書き心地と裏抜けの有無、そして「ほぼ日手帳」のように開いたページが180度開かないであろうこと、さらに1年で1冊の仕様なので、およそ400頁あること。実物を本屋で見てみると、重くはないものの、なかなか厚い。400頁。
気がかりな点はためしに手持ちの新潮文庫に書いてみようかと思ったが、手元に書き込めるような新潮文庫がなかった。ちょうど江國香織の『きらきらひかる』を読み直したかったので、マイブックの実物を見るついでに購入してしまった。ちなみに『きらきらひかる』は解説までふくめて220頁、つまり、マイブックはふたつぶんの『きらきらひかる』だ。それくらいのボリュームを持った記録を、果たして書けるのだろうか……あらたな懸念がうまれる。作家になるわけでもないのに、おかしなこと。
今日も読んでくださり、ありがとうございます。自分で思っているより文房具にこだわっているのかもしれません。
コメント
[…] 近ではメンテナンスの手間すらいとおしくなってきている。 今はドイツのLAMY社のものを使っているのだけれど、前にも書いたように縦書きがしにくいのと、漢字が書きづらい気がする。 […]