アトリエの方がおしえてくれた美容院が、なくなるらしい。聞いてみると、火事があったという。修復不可能なほどに傷ついてしまい、店をやるのはむずかしいという。幸い店のひとたちは無事だったようで、ほっと胸をなでおろす。大変な状況であることは間違いないのに、遠方から通っていたわたしたちを慮り、すぐさま先生の方へ連絡をくれたというのだから驚く。このとき、わたしは美容院に連絡先を渡していなかったことに気づく。ふだんなんとなしに書く個人情報だが、ほんとうに必要な瞬間はこういうときだけだろう。わたしたちはあまりにも容易に情報を渡しすぎているなと反省しつつ、情報化社会の渦中にいると抗えないことも多い。
アトリエに着くやいなやそのことを聞き「これからどうしたらいいのだろう」という気持ちでいっぱいになってしまった。「またよろしくおねがいします」と言って去ったのが最後になってしまい、ただただやるせなさが募る。前に通っていた美容院も悪いところではないから、戻ってもいいかもしれない。むしろ、こまごまとしたわがままを限界まで聞いてくださって、とてもいいひとだったと記憶している。しかし当然、あの美容院と同質ではない。代わるところなどどこにもないのだ。きっとどこに行こうとも同様の満足感が得られないような気がして、わたしは一度考えるのをやめた。
そのあと、あることがふと頭をよぎる。坊主である。これなら新たな美容院を探す必要もない。かねてから一度はやってみたい髪型であり、もし気に入ればセルフカットできて、家計に貢献できる。じっさい、始めの一回は他人にやっていただいてから自分で剃ることになると思うけれども、いろいろ考えていくうちにこの案が存外に現実味をおびてきた。ただひとつ問題があるとすれば、これから冬にさしかかっていることだ。今は坊主経験者の話を集めている最中なのだが、アトリエの方が「ショートカットから坊主にすると帽子1枚ぶん脱いだくらい寒い。あまりにも寒いから、頭痛がすることがある。」と教えてくれた。わたしは頭痛が起きやすいので、冬に坊主をスタートするのは一旦やめにした。
なんにせよ先々週カットしてもらって1ヶ月半は猶予があるので、それまでもう少し考えたい。
今日も読んでくださり、ありがとうございます。美容院のおじさんたちがこれからどうするのかも気がかりではあります。
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