■無脳司令官

休日はさておき、平日は夜、つかれている。体が疲れるタイプのしごとではないので、おそらく頭の疲れなのだろう。体質なのか、昔から頭の中で思考が錯綜したり反芻したりしやすく、常に脳内世界にある吹き出しが、ぴかぴか光ってめいめいが自由におしゃべりしている状態が続く。わかりやすい例が思い浮かばないのだが、ファミリーレストランで呼び出しボタンがいろいろな席から鳴って、店側としてはちょっと大変だなといった、そういう感じである。だから何をしようとしていたのか、今何をしていたのか、忘れてしまうことが頻繁にある。

日々そんな状態なので、夕方になると「メモリがたまって、新しい情報が入ってきにくく」なる。パソコンもスマートフォンも同じ機種をずっと使っているとだんだん動きが重くなることがあるが、それが日ごとに起こる。この感覚は他の人とも共有できるかな(と思っている)。起きてからの時間経過でメモリが圧迫されていく。睡眠でリセットされるのも仕様としては不便だな。

本当は平日の夜にゲームや書き物をしたいものだが、朝、強く決意しても夜にはメモリがいっぱいになって「むりだよ~」「帰りたい~」という内なる声に屈してしまう。また、しごとのモードから余暇のモードに切り替わるのにも非常に時間がかかり、以前、iidxを遊ぶルーティン作りのことで友人と話をしたとき「わたし退勤するときはもう仕事のこと考えてないですよ笑」というのを聞いて、すごい!そうなりたい!と思ったものだ。とはいえ、毎日こうもうまくいかないとやるせなさが募り、どうにかしようと調べてみたところ、「DMN」という言葉にめぐりあった。

こちらは脳科学の用語らしく、Default Memory Networkというそうだ。何も考えずぼーっとしているときというのは、これまで単なる脳の低活動状態とされていたが、実は脳内の情報整理や記憶の定着、エネルギー消費の調整など、脳のメンテナンスの役割を果たすのではないかという説がでてきているらしい。ぼーっとしたり、シャワーを浴びたりしていてに急に何かを閃くとき、この機能が活発になっていることがあるっぽいぞ、ということのようだ。

これに対置されるのがTPN(Task Positive Network)で、いろいろしらべてみると、CEN(Central Executive Network)という呼び方も似たような状態を説明していることが多かった(同一の概念かどうかは不明)。こちらは注意やワーキングメモリにかかわり、高次の認知機能や意思決定、行動の制御に関する脳の働きという。DMNとTPNは交感神経と副交感神経のようにどちらかがオンの時オフになるのが基本だが、ときに同時に活発な状態になることもあるらしい。また、SN(Salience Network)という概念もあり、外界からの刺激や情報に注意を向け、情報処理と調整をする役割らしいので、これはふたつのネットワークをスイッチングするのかな?

ざーっと調べてみて、たしかにこのスイッチングが上手にできていない可能性はみられ、おそらく通常は段階的に切り替わっていくところが「ON/OFF」しかないので、調整がきかないっぽいな、ということはなんだか実感としてあった。もう少し、意識せずとも疲弊しすぎないオペレーションを身につけていけるとよいのだが……。

読んでくださり、ありがとうございます。つまみを回すタイプの電球にうまれたかったものです。

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