◆アトリエ記「慾望」②

この日は異様にねむく、午前中にひととおりの家事を終えたあと昼まで爆睡してしまった。

 合評前に到着し、作業をすすめる。先週つくったはんこの印面をととのえ、終わってから制作をすすめる。暑さのせいか人数も少なく、ゆったりと過ごせた。作品にかんしては、いつもと違う方向で撮ってみた。どの方向からみても、なにかが見えるようにしたい。

 そのあと、スタッフの方と他愛もないことや今後の人生のことを話した。この時間がけっこうすきだ。ここはメンバーはもちろん、スタッフもなんとなくおなじ匂いがして話しやすい。ねむりすぎてしまったことを話すと「ねむれているのはいいことだよ」と言う。ねむれなかった時期と比べれば、ねむれている時間はとてもはしあわせだ。それをスタッフの方も知っている。職場のことを夢に見てげんなりすることもあるけれど、そのげんなり感すら共有できてしまう。

「ぼくも夢の中で……いや、寝ながら?なのかな、展示の準備をしててね……で、起きてさ、なんだか損した感じ、笑。」

 日常会話のようにこんな話ができる場はそうそうない。
 久しぶりに最終便まで過ごし、帰途についた。

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